加納陸、再起戦で3回TKO勝ち 世界王座奪取失敗で「もう負けたくない」

 「ボクシング・10回戦」(11日、兵庫県三田市総合文化ホール)

 元東洋太平洋ミニマム級暫定王者でWBO世界同13位の加納陸(19)=大成=が、トードギャット・ウィーラチョン(タイ)を3回21秒TKOで沈め、3カ月半ぶり再起戦を飾った。加納は6勝(3KO)1敗、トードギャッドは15勝(3KO)10敗2分け。

 8月20日に元2階級王者・井岡弘樹氏を超える18歳9カ月4日での世界王座奪取を狙って世界初挑戦。WBO世界同王座決定戦は元世界4団体制覇の高山勝成(仲里)に6回負傷判定で完敗した。

 16歳で海外デビューし、井岡氏の記録を逆算し駆け上がってきた若武者は世界の壁を痛感した。「基礎から見つめ直した」と、再起戦までは防御面などを鍛え再出発した。

 丸元大成会長が「タイトルを取るボクシングを目指してきた。加納のいいところ、プラス、アグレッシブさ。プレッシャーをかけて、自分から攻めることをやってきた」と修正ポイントを挙げた。

 この日は、そのアグレッシブさが存分に出た。1回、様子を見ながらプレッシャーをかけると2回は攻撃力を解放した。左ストレートを、どんぴしゃで顔面に打ち込むと、コーナーに詰め、猛ラッシュでダウンを奪った。

 「決めにいった」と言う3回は鮮やか。ボディーに強打をたたき込むと、連打でまとめ、倒した。相手は腹を押さえたままもん絶し、レフェリーが試合を止めた。

 「まだまだです。いい形で終われたのは良かったけど納得していない。一からやっていく。来年はさらに強くなる加納陸を見せたい。ゆくゆくは世界を取る」と、リング上では地元の歓声に応えた。

 偉大な記録に挑んだ日々は今後の財産だ。「負けた翌朝、目が覚めて、『つまんない』と。景色が白黒の世界だったのを覚えている。もう負けたくないと思った。この負けを強くなるためのにする。あの負けがあったから今があるとこの先思えるように」と、肥やしとするつもりだ。

 会長は「まだ攻めと守りがハッキリしている。来年はタイトル戦線にからみながら、加納が学習する1年にしたい」と、焦らず地力を蓄える方針。加納も「来年は目の前の決まった試合に全部勝つ。どんな試合でももう負けない」と力を込めた。

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