フィギュアスケートの関東サマートロフィー2026は8日~10日にかけて、横浜市のコーセー新横浜スケートセンターで開催された。9日に行われたシニア男子SPでは今季日本代表入りを目指す大島光翔(23)=富士薬品=が70点の大台にわずか0.01点届かない69・99点をマークして首位発進。翌10日に行われたフリーではシーズン初戦で初めて試合で4回転トーループを成功させるなど、フリー曲「マイケル・ジャクソンメドレー」に乗って躍動、SPに続いて156.84点の1位で合計226.83点で大会制覇を成し遂げた。

 今季から強化選手となり、新たな挑戦として4回転ジャンプに取り組む大島。関東サマートロフィー2026では今季初披露となるショートプログラムを演じ、大会後の囲み取材で現在の心境やプログラムへの思いを語った。

「今が一番スケートが楽しいと言えるかもしれない」

◆SP後の一問一答

-久しぶりの関東サマートロフィー出場となった。

 「久々にサマートロフィーという関東の地方大会に出場しましたが、すごくアットホームな空気で、改めて関東の試合はいいなと感じました。とてもいい雰囲気の中で滑れたと思います」

-ショートプログラム(SP)では4回転トーループに挑戦した。

 「本当は入れる予定ではなくて、3回転だけで構成しようかなと思っていたんです。でも思った以上に自分のタオルを持ったお客さんが来てくださっていて、せっかく見に来てくださったのでいいところを見せたいと思いました。少し張り切ったんですけど、結果的には抜けてしまいました」

-今季のSPについて。

 「今までショートでは冒頭を(3回転)アクセルジャンプで組んでいたんですが、今季は4回転用として4回転トーループから始まる構成で作っていただきました。今シーズンの試合ではその構成で挑めるように持っていきたいと思っています」

-目標としていた強化選手入りを果たした。

 「より一層気が引き締まるというか、それだけやる気も高い状態で練習できています。4回転ジャンプも跳べるようになって、今が一番スケートが楽しいと言えるかもしれません。久々に自分自身で上達を実感できていて、毎日楽しく練習できています」

-改めて今シーズンの目標は。

 「去年よりさらに高みを目指したいですし、自分の目標である日本代表を目指していきたいと思っています。よりレベルアップした自分を見せられたらと思います」

-やはり目標は日の丸を背負うことか。

 「そうですね。「JAPAN」の文字とジャパンジャージーを着ることを思い描いて、毎日練習しています」

村元哉中さんの振り付けは「音の取り方が本当に細かい」

関東サマートロフィー2026のフリー演技後の大島光翔と大島淳コーチ
関東サマートロフィー2026のフリー演技後の大島光翔と大島淳コーチ

-SP「Leave a Light On」の選曲については。

 「 実はこの曲は、2、3年前に初めて村元(哉中)先生に振り付けをお願いした頃から滑りたいと思っていた曲なんです。今年、この曲を選ぶ際に村元先生から提案をいただいて、実は自分が以前希望していたことを先生は忘れていたんですけど(笑)、結果的に意見が一致して選曲しました。何年も前から滑りたかった曲なので、すごくお気に入りです。まだできて1か月くらいですが、いいプログラムに完成させたいと思っています」

-これまでとは違う新しい一面も感じられる。

 「この曲は失恋の曲だと思うんですけど、その中でも男らしさや男くささは忘れずに、自分なりの解釈で表現したいと思っています」

-村元哉中さんからはどんなアドバイスが。

 「この曲はすごく壮大な曲なので、一歩の大きさだったり、大きなスケートを見せることだったりを意識しています。体も足も大きく見せるようによく言われました」

-振付師としての村元哉中さんの魅力は。

 「音の取り方が本当に細かいんです。普通に聴いているだけでは気づかないような音まで拾って振り付けをしてくださるので、自然と見ている人が気持ちよくなれるような作品になっています。何気ない手の動きにも細かな音取りが詰まっていて、本当にすごいと思います」

-表現面での成長も感じているか。

 「アイスショーでも村元先生に振り付けをしていただくことが多いので、気づかないうちにテンポやリズムを体で取れるようになってきたのかなと思います」

-練習拠点を同じくする佐藤駿選手の活躍から刺激は受けているか。

 「本当に一番近くにいるスケーターが大舞台でいつも通りのスケートをして活躍している姿を見て、一番刺激を受けました。同じ競技者として思うこともありますし、一緒にいる身としては「うちの駿」という誇らしい気持ちもあります。同じリンクで毎日練習できていることが本当に幸せだなと改めて感じています」

-今オフに強化できた部分は。

 「やはり4回転ジャンプですね。目に見える形での大きな一歩だったと思います。習得したことでショートもフリーも難度やジャンプ構成が変わってくるので、ジャンプエレメンツの強化は一番頑張った部分だと思います」

-4回転トーループはいつ頃から安定して跳べるようになったか。

 「(今年の) 6月から7月頃ですね。初めて成功してからはコンスタントに跳べるようになってきています」

-試合での成功率向上に向けて意識していることは?

 「4回転を入れることでプログラム全体の難度が一気に上がります。4回転を最初に入れると、その後の(3回転)アクセルやコンビネーションも後ろにずれるので、精神的にも体力的にもかなり大変になります。だからこそ、4回転を入れてもプログラム全体の質やクオリティーを落とさないように練習しています」

-今後の予定は。

 「次の試合はまだ未定ですが、8月にはイベントなどで多くの方の前で演技する機会があります。今年のショートとフリーをできるだけ多くの人に見てもらいたいので、積極的に人前で滑って、このプログラムを届けられる一年にしたいと思っています」

-明日のフリースケーティング(FS)はマイケル・ジャクソンの楽曲。

 「今シーズンはマイケル・ジャクソンの曲を使うスケーターも多いと思いますが、自分らしさ全開のマイケル・ジャクソンを表現したいと思っています。ぜひ楽しんで見ていただければと思います」

-注目してほしいポイントは。

 「表情の移り変わりですね。何曲かマイケルの曲を使わせてもらっているので、「このパートが好き」という部分を見つけてもらえたらうれしいです」

4回転トーループ成功で好発進、日本代表へ視界良好

◆フリー後の一問一答

-今日の演技を振り返って。

 「 すごくいい演技が見せられたと思います。フリー直前まで4回転を入れるか迷っていたんですが、見に来てくださった方にいい演技を届けたいという思いで挑戦しました。結果としていい演技につながったので良かったです」

-フリーで4回転トーループを成功させた。手応えは

  「練習で初めて成功した時は本当にうれしかったですし、自分が思っていた以上の速いペースでクオリティーを上げられました。試合でも決められたことは大きな収穫ですし、自分でも想像以上に成長できていると感じています」

-高得点も出た。どう受け止めているか。

 「 ジャンプ数(7本から6本に)が減った新ルールの中で、自分でもどれくらい点数が出るのか分からない状態でした。初戦で自己ベスト級の得点を出せたのはうれしいですが、その分、今シーズンの自分への期待値やハードルも上がったと感じています」

-「マイケル・ジャクソンメドレー」のフリープログラムでお気に入りの場面は?。

 「一番のお気に入りは最後の『Bad』のパートです。4回転や3回転アクセル、コンビネーションジャンプが終わった後、自分らしく踊りを楽しめる時間なので、とても好きな場面ですね」

-プログラムの見どころを教えてください。 

「『スリラー』から始まって、真ん中では大きな滑りやスケーティングを見せる構成になっています。踊りだけではなく、自分の滑りの魅力も感じてもらえたらうれしいです」

-マイケル・ジャクソンの表現はどのように作り上げているのか。

  「以前からライブ映像をよく見ていましたし、この曲を使う以上は中途半端なものは見せられないという責任感があります。本人のイメージを大切にしながらも、自分らしい表現を追求したいです」

-次に目指す4回転ジャンプは?

 「ルッツとフリップですね。トーループの前から練習していたジャンプでもあるので、今後はその2本を試合で見せられるように頑張りたいです」

-今回の成功は今後に向けて大きな自信になる。

 「本当にそう思います。ゼロから1にすることが一番難しいので、試合で4回転を入れた構成をノーミスで滑れたことは大きな自信になりました。今シーズンに向けて最高のスタートになったと思います」

- 今後の課題はどこにあるか。

 「 今日はジャンプ中心になってしまった部分もあったので、4回転を入れた状態でも滑りや表現を100%以上出せるようになりたいです。エレメンツだけでなく演技全体の質を高めていきたいと思っています」

-シーズンの目標を。

 「一番の目標は日本代表になることです。そのために4回転ジャンプをさらに磨きながら、表現やスケーティングなど細かな部分もレベルアップさせて、全体の完成度を高めた状態で(日本代表選考会の)全日本選手権に臨みたいと思っています」

◆大島淳コーチのフリー後のコメント

 「 すごく冷静に滑れていましたし、最高の出来でした。本当に何も言うことがない内容でした。よく滑り込んで、いい状態で大会を迎えることができました。4回転トーループは入ったり入らなかったりの状態でしたが、試合でしっかり決めてくれたので素晴らしかったです。体がしっかり動いている時は高い確率で跳べるようになってきています。成功率も上がっているので、次のステップに向けて取り組ませたいと思っています。(日本代表入りは)毎年の目標ですが、4回転を手に入れたことで可能性は広がったと思います。今できることを積み重ねながら、4回転の種類を一つでも多く増やしていきたいです。本人を信頼していますし、何よりケガをしないことを第一に、このまま成長していってほしいと思います」