フィギュアスケートの関東サマートロフィー2026は8日~10日にかけて、横浜市のコーセー新横浜スケートセンターで開催された。9日に行われたジュニア男子ショートプログラム(SP)では昨季の世界ジュニア選手権銅メダリストの西野太翔(16)=オリエンタルバイオ=がジャンプで失敗しながらも69.58点でトップ。翌10日に行われたフリーでは、西野が4回転2種類計3本に挑み、後半3本目の4回転サルコーの単独ジャンプのみ成功させたほか、トリプルアクセル計2本の難度の高い構成を組んで128.23点で1位となり、合計197.81点で優勝した。
高難度のジャンプ構成に挑んだ今季2戦目
今季ジュニアでの実績を積み重ねて、来季シニア転向をもくろむ西野は、世界ジュニア選手権2連覇のジュニア王者でライバルの中田璃士(17)が今季からシニアデビューすることを受け、世界のジュニア界を引っ張る存在になる覚悟を持って新シーズンに臨んでいる。その西野が今季2戦目の大会で、積極果敢に高難度のジャンプ構成に挑んだ。得意のジャンプでミスを出したSPの演技後は頭を抱え、フリーの演技後は下を向いて、いずれも悔しそうな表情を見せたが、SPもフリーも世界を見据えたプログラムで及第点の演技を披露した。
SPでは、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を鮮やかに着氷し、3回転ルッツもきれいに跳んでみせた。しかし、最後のフリップ+トーループの連続3回転ジャンプが、最初のフリップで軸が斜めになって前傾になったことで2つ目のジャンプが1回転になる失敗を出した。
「前半は練習してきた表現面が良かったんですけど、後半の連続ジャンプに入るときにいつもより滑りすぎて(フェンスに)近かったので、それが今後改善すべきだと思いました。この試合では、トリプルアクセルとトリプルルッツがしっかり入ったので良かったと思いますし、滑りも前回(の試合)よりは自分的には表現を意識してできたのですごく良かったかなと思います。スピンはちゃんと回っていたので良かったんですが、ステップで若干スピードが落ちたので、もうちょっとスピードを出せるように頑張りたいです」
ジェイソン・ブラウンから得た学び
今大会前の7月30日から8月1日まで全日本ジュニア合宿が行われた。その合宿では、ソチ五輪団体銅メダルのジェイソン・ブラウン(米国)から直接指導を受け、表現面での課題を指摘されたという。「身体の使い方だったり、スケーティングの仕方だったりをすごく教わりました。そこをしっかり学べたことで、前よりもスケートが滑るようになったと思います」と手ごたえを口にした。卓越した表現力で世界を魅了してきたブラウンから習得した学びをどう生かすか、今後の演技に注目したいところだ。
西野にとってフリープログラム「四季」は、少し背伸びをして成長を促す高難度の構成に挑戦していると言っても過言ではない。
そのフリーを振り付けたのは、中学1年生から指導する佐藤操コーチが依頼した新進気鋭のミーシャ・ジー氏だ。初めてタッグを組む振付師に作ってもらった新プログラムは珍しい構成になっている。これまで多くのスケーターが「四季」を選曲して1つの季節を演じてきたが、西野の「四季」は春から冬の4つの季節を表現する内容になっている。西野はこう説明する。
「季節が切り替わる場面で表現の仕方をすごく変えているのでそこが、このプログラムの見せ場のポイントです。僕が参考にしているのは、佐藤駿選手の『四季』です。表現の切り替わりのところでメリハリがすごくいいので、そこを勉強しています」と。
10日のフリーでは、冒頭の4回転トーループで転倒し、続く4回転サルコーでは2回転のパンクとなり、ジャンプで失敗が目立ち、精彩を欠いた。
「すごく反省する点が多かった演技でした!なんかいろんなことを逆に考えすぎてしまったので、しっかり絶対できるってことだけを考えてやろうと思いました」
立ち上がりの大技失敗でも崩れることなく、3つ目の連続ジャンプで3回転アクセルからオイラー、3回転サルコーそして2回転アクセルの4連続を鮮やかに決めた。その後、着氷が乱れたが4回転サルコーを跳び、単独の3回転アクセルも成功。最後に残った連続ジャンプでは、予定になかった3回転ルッツ+3回転ループを跳ぼうとして2つ目がパンクして1回転に。失敗を引きずることなく、気持ちを切り替えて立て直す意地を見せた。
「4回転ジャンプを失敗していたので何も失うものはなかったので、もう、どうにでもなれっと思って、ルッツ+ループの連続ジャンプかなと思って跳びました。最近、この連続ジャンプは調子が良くて、いい感じで跳んでいたので。試合に入れたのは初めてですが、挑戦しました(苦笑)。今日の演技で良かった点は、最後まで諦めず、滑り切れたところと、ステップで表現のメリハリができていたところです。今大会の収穫としては、初めて試合で跳んだ4回転3本の構成を滑り切る難しさを感じました。反省する点としては、やっぱすごい、こういうミスが出ても気持ちを落としても、最後まで集中力を切らせずにできることが大切だなと思いました」
ジュニアGPシリーズで「最高のパフォーマンスを」
8月19日から10月10日まで世界各地でジュニアグランプリ(GP)シリーズが行われる。現時点で大会2戦に出場する日本男子は西野ただ一人。昨季同様にジュニアGPファイナルに出場して、4回転3本の武器を引っ提げて優勝を目指すつもりだ。
「プログラムに3本の4回転を跳ぶのは気持ち的にはすごい苦しいんですけど、それでもやっていかないと勝てないと思います。まあでも、まだ調整の段階なので、構成を下げる可能性もありますし、しっかりそこを見極めて、ジュニアグランプリでは成功できるように頑張りたいと思っています」と静かに闘志を燃やしていた。
世界ジュニア選手権銅メダリストの肩書はあるが、あくまでも挑戦者として臨む今季の目標について気負いなく話した。
「銅メダリストであることは別に考えていなくて、やっぱり自分のやり方でやるだけだし、そこをしっかりやっていければいいかなと思います。どんなに大きな大会でもショートとフリーをノーミスで合わせられるようにしたいです」
西野の挑戦は始まったばかりだ。次戦となる国際大会の初戦は、ジュニアGPシリーズ第3戦のタイ・バンコク大会(9月2日~5日)で、「自分ができる最高のパフォーマンスをできるように頑張りたい」と抱負を語った。







