家族との関係は、やり直すものではなく、作り直していくもの 西村誠司氏の人生相談

 【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 いつもこのコーナーを拝読しております。実は私も次女との関係性について悩んでおり、応募させていただきました。私は52歳の会社員で、今年の3月に11年の単身赴任を終え、久しぶりに妻と2人の娘(23歳と14歳)と一緒に生活しております。ですが、下の娘とは物心がつく前に単身赴任となったため、事実上、今が初めての共同生活です。以前は帰省時に2人で映画に行くなど普通の関係でしたが、同居となった3月以降、会話がほとんどありません。お年頃とは思いますが、どの様に距離を縮めればいいのか悩む日々です。家族LINEで次女から「いいね」のアクションがあるだけで大喜びしている自分がいます。以前のように楽しく話したいのです。良き助言をお願いします。

 【回答】 11年の単身赴任を終え、ご家族と再び一緒に暮らし始めた中での戸惑い、とてもよく伝わってきました。特に下のお嬢さんとは、これまでの時間の積み重ねが少ない分、「どう接すればいいのか分からない」という感覚になるのは無理もありません。

 まずお伝えしたいのは、今の距離感は決して異常でも失敗でもないということです。14歳という年齢は、親との距離を少し取りながら自分の世界を広げていく時期です。そこに加えて、「ほぼ初めて一緒に暮らす父親」が急に日常に入ってきたわけですから、娘さんにとっても戸惑いがあるはずです。むしろ、多少の距離感があるのは自然な反応です。

 そのうえで大切なのは、「距離を縮めよう」としすぎないことです。以前のように楽しく話したいというお気持ちはよく分かりますが、過去の関係に戻そうとすると、どうしても無理が出ます。今は“新しい関係を一から作る時期”だと捉えたほうがうまくいきます。

 たとえば、無理に会話を増やそうとするのではなく、「同じ空間に自然にいる時間」を大事にしてみてください。あいさつをする、何かを頼まれたら丁寧に応じる、食事のときに一言声をかける。それくらいの小さな積み重ねで十分です。会話が続かなくても気にしない。その“圧のなさ”が、安心感につながります。

 また、家族LINEで「いいね」が来ただけでうれしくなる、その感覚はとても素直でいいと思います。それは決して小さなことではなく娘さんなりの関わり方です。言葉が少なくても完全に閉じているわけではない。そのサインをきちんと受け取ってあげてください。

 思春期の子どもは、「踏み込まれすぎる」と離れ、「放っておかれすぎる」と不安になります。そのちょうど真ん中-“いつでも話しかけていい距離”を保つことが大切です。今は会話が少なくても、何かあったときに「この人なら大丈夫」と思ってもらえる存在になること。それが父親としての信頼の土台になります。

 焦らなくて大丈夫です。関係は一気に縮まるものではなく、少しずつ育っていくものです。あなたが感じている「話したい」という気持ちは、きっと時間とともに伝わっていきます。今はその気持ちを押し付けるのではなく、静かに隣に置いておくような感覚で、日々を重ねてみてください。

 家族との関係は、やり直すものではなく、作り直していくものです。その最初の段階に、今まさに立っているのだと思います。焦らず、ゆっくりと。必ず少しずつ変わっていきます。

 ◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万7000人。

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