「利き足は頭」の大型FW・盛田剛平氏はサッカー普及コーチに

 「利き足は頭」。そう自任していた元大型ストライカー・盛田剛平氏(42)は、プロデビューした浦和に戻って「ハートフルクラブ」というサッカー普及を目的としたスクールのコーチをしている。

 駒大卒業後99年に浦和に加入し、広島、甲府など7クラブを渡り歩いたが、浦和時代は2年でリーグ戦無得点。よい思い出がないのでは?と勘ぐると「それでも誘ってくれて。恩返しじゃないけどまたやりたい」と、まっすぐに返してきた。選手としてスカウトを受けた落合弘氏がハートフルクラブでキャプテンを務めていること、海外でも活動していることも魅力だった。

 昨季限りで引退すると、「次に何をすべきか」を意識した。商売替えで「ラーメンも考えたし、お好み焼き屋も考えた」。フランチャイズ店経営の話も聞きに行ったが、「ファーストチョイスがここだなと。他の仕事をやってからここに来られるかといったら難しい話ですし」と決断した。選手時代も各所属クラブの状況に応じてDFへのコンバートを直訴したり、FWに復帰したり。「生き残っていくため」にできることを考えてきた。

 ただ、いざコーチをやってみると実に難しい。円滑に進行するため事前のボール配置を考えたり、子供の興味を引くためアニメの話題を振ったり。そんな苦労の中にも、「挨拶もしない子が最後の方は『この前どこどこ行ったよ』とか話してくれるようになるから、そうなるとうれしいですよね」と喜びも感じている。

 盛田氏にはもう一つの顔がある。それは“ラーメン師範”。駒大時代に目覚め、好きが高じて現役選手でありながら所属クラブのイベントで過去何度も自身が監修するラーメンを発売した。「去年だって(所属した)群馬で100件以上、食ってますから」と探求の毎日で、今は浦和の本拠地さいたま市のご当地ラーメンを模索している。「自分の中でため込んどくのも大事ですよね。アイデアを」とコーチの勉強を軸に据えながらも、究極の一杯を温めている。

 普及コーチも、ラーメンも。まだ、この世にはやりたいことであふれている。コーチとしての課題は「かまない。はっきり声を出す。滑舌よく!」。顔をくしゃっとさせて語る姿に、プロ19年間を生き抜いた味がしみこんでいるように感じた。(デイリースポーツ・広川 継)

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