元G投手柴田さん 難病&戦力外バネに大手外資コンサル社員転身 夢は大リーグ職員

 元巨人投手の柴田章吾さん(29)は現在、大手外資系総合コンサルティング企業「アクセンチュア」の社員として“第2の人生”を送っている。引退後、東大・京大生の就職ランキング上位の難関企業に自力で就職。将来的にメジャー経営に携わる夢を抱きながら、ビジネスマンとして日々奮闘している。

 プロ野球界では毎年100人超の選手が引退や戦力外となり、第2の人生に向けた決断を迫られる。14年オフ、柴田さんもそのひとりだった。「現役を続けたい気持ちもありました。でも奇跡が起きて活躍できても、3000万円もらえたらいいほう。それなら別の世界に行って、毎年1000万円稼ぎたい。そっちのほうが、目指しがいがあると思ったんです」。

 引退後にジャイアンツアカデミーの講師として少年少女に野球を教える一方、就職活動を開始。人脈を駆使して商社や広告代理店、銀行など半年間で約100人のOB訪問を行い、志望する企業を絞り込んだ。海外でのホームステイで語学習得にも励み、面接練習も繰り返した。努力が実り、超難関の入社試験を突破した。

 「15歳で病気になった時から『野球はずっとできない』と、心のどこかにありました。昔から就職するならどこがいいだろうと、働くことに興味があったんです」。

 柴田さんは中学時代、1万人に1人の難病ベーチェット病を発症。40度の高熱と激しい腹痛に苦しみ、生死をさまよい、中学3年時には出席日数の半分しか登校できなかった。再発すれば失明の可能性などもある恐ろしい病気。今でも薬を服用し、2カ月に1度の定期検診が必要だ。ただ、人生観を変えたこの経験が高校時代の甲子園出場やプロ入り、さらにアクセンチュア入社を実現させた“原動力”となった。

 入社後は大きな壁にもぶつかった。「みんなができる当たり前。僕はそれができなかった」。配属先では資料作成や議事録等、日々のタスクに忙殺され、上司の前で涙を流したこともあった。

 「ある上司から『今日10個指摘されたら明日は9個、明後日は8個にしよう。一気にできるようになろうと思わなくていい、ひとつずつ減らしていけ』と言われたんです。その言葉は有り難かったですね」。任される業務も増え、現在はITコンサルティング業に従事。企業の経営戦略などを構築するパートナーの役割を担い、全国各地を飛び回っている。

 大きな目標もある。アクセンチュアの採用面接では、将来的にメジャーリーグの経営に携わりたいことも伝えた。「メジャーのIT部門では、実際、日本人の方も数人が働いていて、IT企業から転職した人たち。アクセンチュアのITコンサルタントの人間が、その部署に行ける可能性は0ではないと思っています」。

 巨人では同世代の菅野や小林が主戦となったが、柴田さんも別の世界で活躍。「すごく充実していますね。人生2度、楽しめているなという感じです」。華麗なる転身を果たした29歳は、さらなる高みを目指している。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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