浪曲師として開花した“ケイコ先生”の今 生徒・坂本ちゃんは「家族」今も交流

初のCD「浪曲でいず」を手にする浪曲師・春野恵子=都内
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 あの伝説的なバラエティー番組『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)の企画「電波少年的東大一直線」(2000年7月~01年1月)で注目を浴びた家庭教師の“ケイコ先生”が、浪曲師・春野恵子となって才能を開花させ、この3月で初舞台から12年を迎える。

 東大卒業後、女優を志す過程で出演した「電波少年」でブレーク。その後はドラマや情報番組などに出演したが、03年に浅草で出会った浪曲に打たれた。直感だった。上方女流浪曲の第一人者・二代目春野百合子に弟子入り志願。夜行バスで稽古に通い、翌年には頭を3ミリに丸めて、生まれ育った東京から未知の大阪に移住した。

 「電波少年の後も、テレビに出る時は“東大卒のケイコ先生”というキャラ。それしかなかったですから」。当時、心の支えとなったのは落語家との交流。「師匠がいて弟子がいて、修行を積み重ねていく姿がかっこいいなと。ちゃんと地に足着けた世界が、その時の自分と真逆に見えた」。大好きな大相撲にも通じる伝統の世界。“ケイコ先生バブル”の余韻を絶ち、何度ものどをつぶしながら、浪曲と向き合った。

 12年、大阪市の「咲くやこの花賞」大衆芸能部門受賞。「東京の人間ですから大阪で認められてうれしかった」。ここ数年、公演数は年間約180~200。英語浪曲や落語家との共演などジャンルを越える。14年3月に米ニューヨークで初の海外公演を成功させて以降は中国、ドイツ、モンゴルなど8カ国に“遠征”している。

 「電波少年」で8か月間の共同生活を送ったお笑い芸人・坂本ちゃんとの交流も続く。「昨年も都内の会に来てくれた。家族みたいなものです」。“ケイコ先生の今”を求めて会場に足を運ぶファンが浪曲を知る。「ありがたいです。ケイコ先生をやっていてよかったなって思いますね」

 17年秋に初のCD「浪曲でいず」をリリース。18年は2月まで44公演とハイペースで、3月には17日に名古屋、18&19日に大阪で古典とロック浪曲の「ローキョックンロールSHOW」を開催。「今年はできる限り、ゆっくりしたい。毎年、言ってるんですけどね」。屈託なく笑った。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

 ◆春野恵子(はるの・けいこ)東京都文京区出身。4~6歳時に米テキサス州ダラスで暮らす。東大教育学部卒業後、「進ぬ!電波少年」でケイコ先生としてデビュー。ドラマ「救命病棟24時」「スタアの恋」などに出演。二代目春野百合子に弟子入りし、04年に大阪移住。06年3月初舞台。海外では米国、中国、ドイツ、イタリア、ブラジル、ロシア、モンゴル、アイルランドで公演。主な演目は「番町皿屋敷~お菊と播磨~」「おさん茂兵衛」などの古典や新作「平成女事情」、ロック浪曲など新たな試みを続ける。公益社団法人浪曲親友協会理事。

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