右利き左利きはどのように決まる?「胎児の段階で」「どちらかの脳半球が運動制御において優れている」を覆した学説

 字を書く、ボールを投げる、そんな日常的な動作で右利きの人は右手、左利きの人は左手の方が上手に動かせるのはなぜか。これを真面目に研究した学者がいます。利き手の細かい運動能力は、練習によって形成されるもので、右脳・左脳の優位性は存在しないことが判りました。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部神経内科の研究が、世界で最も権威ある医学雑誌の一つに掲載されました。

 これまでは胎児の段階ですでに右利き・左利きは決まっており、出生後にどちら側が利き手になるのか予測できるとされていました。左右どちらかの脳半球が運動制御において優れているというのが通説でした。しかし、今回の研究発表はこれを覆すものです。健康な成人を対象に利き手と非利き手の運動能力を比較する一連の実験を行い、利き手の運動制御が優れている理由は、脳の左右差による生まれつきの差か、それとも長年の経験によって培われた技能なのかを検証しました。

 細かい実験の内容は省略しますが、カメラを用いて被験者が腕を伸ばす際の3次元の動作を分析したり、参加者に左右それぞれの手で文字や数字を書いてもらい、次いで左右それぞれの肘にペンを固定して、文字や数字を書いてもらったり、重りを装着した状態で両腕の動きの精度を見たりと、様々な方法で行われました。さらに、練習を重ねると左右どちらの肘も同程度に上達し、最終的には非利き手では達したことのないレベルまで向上したそうです。

 研究グループは、今回の研究結果は運動技能を再学習する必要がある脳卒中や、その他の脳損傷を負った患者を助ける上で、新たな視点をもたらす可能性があると述べています。またこの結果は、人がどのように技能を要する運動を学習し、それを脳がどのように処理しているのかを解明する一助になる可能性があると結論づけています。出典:Arac A, et al. Proc. N. Acad. Sci. USA. 2026;123:e2601569123.

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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