「AI×専門医」で内視鏡検査の精度向上 恩恵を受けるためにも積極的な受診を
今回は胃カメラや大腸カメラを含む内視鏡検査とAIの話です。
胃カメラでは、国立がん研究センターと理化学研究所が、早期胃がんの範囲を画像から推定するAIを報告しています。137症例中130症例(94.9%)で病変の有無を正しく判定し、範囲診断も専門医に迫る結果でした。別の多施設研究では、AI補助により内視鏡医の早期胃がん診断の感度が67.2%から82%へ改善しています。
感度とは胃がんを胃がんと指摘する確率です。67.2%ということは3分の1が見逃されるということですから恐ろしい気がしますが、これは修練中の医師も含まれての海外データです。日本の専門医は86-95%と報告されており、60%台が世界標準であることを考えると日本の専門医は極めて優秀です。しかし施行数の増加に伴う疲労による診断率の低下も報告されており、AIは疲労や経験の差を補い、生検する場所や内視鏡治療で切除する範囲を考える助けとして期待されます。
大腸カメラでは、検査中の画面にポリープらしい場所を示し、医師の観察を助ける仕組みが使われ始めています。日本の多施設研究では、AI補助により腺腫(がんになる可能性のあるポリープ)の見逃し率が36%から13%に下がりました。28件の臨床試験をまとめた解析でも、見逃し率は55%低下しています。
AIによる内視鏡診断補助はすでに開業医の内視鏡にも普及し始めています。日本は、世界一優秀な日本製のカメラと専門医が揃っている国です。これにAIが加われば百人力ですが、検査を受けないとその恩恵に与れません。胃腸の不調がある方や便潜血検査で異常を指摘された方はぜひ消化器内科を受診してください。
◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。
