屋久島では花粉症の人が少ない、青森県がもっとも少なく次が鹿児島→逆に多いのは山梨のほか

 今年の花粉飛散料は例年の4倍といわれ、さらにPM2.5や黄砂も多く、相乗効果を生んで皆さん大変な思いをされたようです。ところで杉で有名な鹿児島県の屋久島では、実は花粉症の方が少ないのです。

 屋久島で育っている杉は日本の固有植物で、北は青森県、南は屋久島まで自生しています。吉野杉や柳瀬杉などといった種類もありますが、本土も屋久島の屋久杉も種類は同じです。しかし、その地域の気候や風土に合わせて独特な成長をすることから、スギの花粉量に違いが出ます。

 屋久島の「屋久杉」は独特の古木(天然杉)で、花粉の放出量が非常に少ないのです。本土の杉は戦後に大量植林された、品種改良された人工杉で、これらは成長が早く花粉も大量に飛ばしますが、屋久杉は寿命が長く成長が遅いため、花粉を飛ばす量が少ないのです。さらに屋久島は非常に雨が多いため、飛散した花粉が雨で地面に落とされます。しかも屋久島はアスファルト舗装の道路が少なく、花粉は土の上に落ち、雨があがって風が吹いても、舞い上がらないのです。

 花粉症は花粉が車の排気ガスなどと引っ付くことで増悪します。屋久島は車が少なく排気ガスも少ないので、混ざることがありません。また屋久島は離島で、工場や都市部の汚染物質が少ないため、大気中の化学物質と花粉が引っ付くこともないので、アレルギー反応が強くなりません。

 以上のような様々な理由から、屋久島では花粉症の人が少ないのです。ちなみに都道府県で言うと花粉症は青森県が最も少なく、その次が鹿児島県で、逆に多い県は、山梨・静岡・埼玉とのこと。沖縄から東京に来た方、イギリスのロンドンから東京に来た方が、羽田空港で飛行機から降りた途端、花粉症になったという報告まであります。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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