【松本浩彦医師】食べ物を床に落とした時の…「3秒ルール」は大丈夫か? 実は全くのデマでした

 食べ物を床に落とした時に「3秒ルール!!」と言って、そのまま食べたこと、ありませんか。実はアメリカでは「5秒ルール!!」と叫びながら、地面に落ちた食べ物を食べることがあるそうです。万国共通なんですね。でも、これって衛生学的に正しいのでしょうか。ちょっと調べてみました。

 実はこの問題に真面目に取り組んで実験し、論文まで発表した米国の研究チームがあります。ある種のチフス菌(食中毒性サルモネラ属)を、カーペット、木、タイルの表面にばらまいて、その上にボローニャ・ソーセージとパンを置いて、5秒、30秒、60秒後に、どれだけの数の細菌が食べ物に付着するかを検討したそうです。

 最初にこのチフス菌は、カーペット・木・タイル、どの環境でも感染力を保ったまま1カ月以上、生き続けることが判明しました。そして食べ物を置いて、5秒、30秒、60秒後のいずれも、ほぼ同じ数の菌が付着することが実験で証明されました。つまり接触時間に関わりなく、安全ではないことが判明したのです。

 3秒ルールも5秒ルールも、全くのデマ、ということです。カーペットは接触面積が少ないためか、木やタイルより少しだけマシでしたが、それでも菌は感染力を保ったまま、たっぷり付着する、という結果が出ました。

 あと、ソーセージは菌がつきやすくて危険だけど、パンならサッと拾えば大丈夫だと思うでしょう?残念ながら、ソーセージもパンも、時間に関係なく大量の菌が付着するそうです。この実験は、きわめて現実的にデザインされており、結果も判りやすく、論文は細菌学の分野でも非常に権威のある学術誌に掲載されています。これから「3秒ルール」は封じ手にしましょうね。

◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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