【中塚美智子医師】歯ぎしりに気づいてますか…歯が割れたり抜けたりする怖さも

 真夜中に聞こえてくる何やら不気味な音…。歯ぎしりにお悩みの方が多いようです。あの美しい菜々緒さんも歯ぎしりがひどく、寝る時に必ずマウスピースをつけていらっしゃるとか。

 歯ぎしりをしている時は、普段より強い力でかみ締めているといわれています。どれほど歯をこすり合わせたらあのような音が出るのかと試してみましたが、とても再現できませんでした。

 歯ぎしりで困るのは歯が欠ける、歯の根にひびが入る、かぶせ物や入れ歯が割れる、顎関節症になるなどといった問題が起こることでしょう。しかし深く見ていくと、歯ぎしりは「睡眠障害国際分類第三版」において睡眠関連運動異常症に分類されているうえ、近年研究が進み、睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されるようになりました。

 歯ぎしりは眠りが浅い時や不安定な時に起こりやすいといわれています。酒などに含まれるアルコール、コーヒーなどに含まれるカフェイン、タバコ、ストレス、一部の病気や薬、遺伝との関連が疑われており、今や歯や口の問題だけではなく睡眠の質、ひいては生活の質に関わる問題と捉えられています。

 治療として、歯や顎への負担を軽くする目的でのマウスピースの使用、かみ合わせの調整、心理的アプローチ、生活習慣などの見直しなどがなされていますが、一人一人状況が異なることから、歯ぎしりがなくなるというところまでは至っていないのが現状です。

 ご家族などからの歯ぎしりの指摘、歯のすり減り、起床時の顎や首の痛みなどがあれば、歯ぎしりのせいで歯や顎に過度の力がかかっていることが考えられます。

 睡眠時は心と体を休めているだけでなく、脳内情報の整理や統合、細胞の修復などにより、翌日に向けて準備が行われる大切な時間です。日々の生活でストレスや不安はつきものですが、自分なりの解消法を見つけ、何とか睡眠の質を高めていきたいものです。

 ◆中塚美智子(なかつか・みちこ)大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、1級キャリアコンサルティング技能士。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。

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