【中塚美智子医師】虫歯でもないのに歯がグラグラ…歯周病の可能性があります

 【Q】虫歯でもないのに歯がグラグラして抜けそうです(60代男性)

 【A】見た目には何も問題ない歯なのに、気付いたらグラグラしていて今にも抜けそう…。焦るし、抜けた後を想像すると恐ろしくなりますね。以前から食べ物が歯に挟まりやすい、かみにくいと感じていらっしゃったかもしれません。

 歯がグラグラする原因の一つに、歯を支えている骨(歯槽骨=しそうこつ)が溶け、骨の量が減ったことが挙げられます。年齢から考えると歯周病の可能性が高いでしょう。

 歯周病により歯槽骨が溶けると、歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜(=しこんまく)と呼ばれる靱帯(じんたい)も断裂してきます。船を岸壁に係留する際、ロープが切れると船は沖に流されますよね。歯も歯根膜が断裂するとやがて抜けてしまいます。

 成人の歯周病はゆっくり進行するため、歯磨きを怠ったり歯科医院で治療を受けなかったりすると、意識しないうちに歯の揺れが大きくなっていきます。歯周病が怖いのはこういった点で、やがて痛くてかめなくなり、歯を抜かなければならなくなります。

 歯槽骨が溶ける原因は他にも糖尿病、喫煙、骨粗しょう症、ホルモンバランスの乱れ、薬の副作用などが挙げられます。心当たりがあり、最近歯がグラグラすると感じたら、早めに医師に相談することをお勧めします。

 歯に強い力がかかった場合も歯がグラグラするようになります。激しい歯ぎしりや食いしばり、歯を強くぶつけた時などに歯根膜が断裂したり、歯が割れたりします。かみ合わせの調整や、割れた部分の接着などで歯を残せる場合があります。

 歯が抜けることにより歯並びが崩れる、かむ力や栄養の吸収効率が落ちるといった影響が懸念されます。溶けた骨と抜けた髪は時間がたっても元に戻りません。歯の場合は、抜けてしまう前に一刻も早く歯科医師の診察を受けましょう。

 ◆中塚美智子(なかつかみちこ)大阪歯科大学医療保健学部准教授。歯科医師、労働衛生コンサルタント。「歯科医療の発展が日本を元気にする」と信じ、日々未来の歯科衛生士、歯科技工士の養成に携わっている。

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