【谷光利昭医師】脂質異常症には運動と食事療法 悪玉コレステロール高ければ卵を控えて
【Q】検診で、脂質異常症と診断されました。できるだけ薬を飲みたくないのですが、どうすればいいでしょうか?
【A】脂質異常症、以前は高脂血症と呼ばれていました。まれに遺伝することもありますが、今回は遺伝ではない場合について説明します。
一般的に主な死亡原因はがん、事故(自殺含む)、成人病の3つです。その中でも、がん、事故は未然に防ぐことが困難です。唯一、成人病のみが予防的治療により、発症のリスクを減らすことが可能です。ですから、治療をすることが大切なのです。
成人病には高血圧、糖尿病、脂質異常症があり、すべての病気が生活習慣の改善で軽快します。これらを放置すると脳卒中、心筋梗塞の発症リスクが非常に高くなります。そうならないよう、私は患者さんに生活習慣の改善を勧めています。
脂質異常症の場合に大切なことは、運動、食事療法です。中性脂肪が高い場合は、無理がない程度に日常生活の中で運動を増やしてみましょう。駅は階段を使う、バス停を1つ前で降りる、職場でエレベーターを使用しないなどです。できる範囲で無理のない程度に少しずつ増やしていくことが大切です。
食事内容も油物、糖質を控えましょう。脂質異常の中でも、悪玉コレステロールが高い場合、運動では数値は低下しません。コレステロール摂取量を1日200mgまでとします。卵は身近な食べ物ですが、1個を食べると約260mgのコレステロールの摂取になります。ですから、悪玉コレステロールの高い人は、卵は食べないほうがいいのです。
その他に気をつけて頂きたい食べ物は、スルメ、イカ、タラコ、イクラなどです。レバーなども含有量が高く、貧血の予防にはなりますが、数値の高い人は要注意です。また、女性の場合は閉経後にホルモンの関係で突然、悪玉コレステロールが上昇することがあります。治療は薬のみではありませんので、医師と相談することをお勧めいたします。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。