【谷光利昭医師】胃腸風邪 下痢止めは自己判断で飲まないで
【Q】季節の変わり目で「胃腸風邪」で治療を受けていますが、なかなか治癒しません。そういうものなんでしょうか?(30代女性)
【A】胃腸風邪、いわゆる感染性胃腸炎ですね。細かく分類するとウィルス性、細菌性、毒素型などに分けられるのですが、ここでは省略して胃腸風邪の攻略方法をお伝えしますね。
まず体力が弱っているから食べないといけないという考えを改めて下さい。焼肉食べよう、ニンニク食べよう…などです。その上、お酒まで飲んで苦しむ患者さんもおられます。胃腸風邪の主な症状は、吐き下しや高熱です。その時に無理をしてはいけません。消化に負担がかかると、嘔吐するか下痢をするかのどちらかです。
アルコールはもってのほか。ただ例外的な人がいるのは事実です。荒療治で治癒させている人もいました。私が外科医だったころの先輩です。普通の人が真似をしてはいけません。胃腸風邪の増悪をきたします。
可能な限り、お粥さん、よく煮込んだ味の薄い素うどんなどを食して、それでも駄目なら味の薄いプリンやゼリーなどを食してください。経口接種が難しければ、病院で点滴治療を受けることをお勧めします。脱水が怖いから水分を多量に摂取しても余計に嘔吐、下痢をきたし、脱水の増悪をきたすことがあるのです。
そして、絶対にしてほしくないことがあります。市販および病院から処方された下痢止めを飲まないで頂きたいのです。人間には優れた能力が備わっています。身体の中に入ってはいけないものなので嘔吐や下痢で、強制的に排泄するのです。止めてしまうと悪いものが残り続けます。
以前にO-157という細菌が原因で亡くなられた患者さんも、市販の薬を飲み続けて様子を見ておられたと伺いました。当院でも胃腸風邪のときに下痢止めを希望される方がいますが、理由を説明し、納得して頂いております。胃腸風邪の際には、病院での投薬治療のみではなく食事療法も伴わせて、自己判断で下痢止めなどの服用は中止して頂きたいと思います。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。