【谷光利昭医師】便秘には4種類と要注意のプラスワン

 【Q】便秘で悩んでいます。テレビなどを見て改善法を試しているのですが、効果が続きません。(20代女性)

 【A】便秘には、大きく分けると4種類の便秘があります。食事性、直腸性、弛緩性、痙攣(けいれん)性となります。

 食事性便秘は、食物繊維の少ない食事を摂取したり、食事量が少ないときに生じる便秘です。繊維の多い野菜や果物の摂取により改善が見込まれます。

 直腸性便秘とは、何度も便意を無視することにより生じます。この便秘は厄介ですね。社会人が仕事中に便意を催したとき、ベストタイミングでトイレに駆け込む事ができる人は、それほど多くないですから。多くの便秘の患者さんがこのタイプではではないでしょうか。教科書的には、規則的な排便習慣の確立が大切などと記載されていますが、それができないから困っているのですよね。対処としては、眠前に内服する下剤の使用や、坐薬などにより排便を促す事がいいでしょう。

 弛緩性便秘は、大腸の運動の低下や、腹筋力の衰えなどで起こってしまうものです。繊維性の多い食べ物の摂取や適度な運動が推奨されます。それでも改善しない場合は、腸管内で便に水分を吸収させる薬や、大腸粘膜や大腸壁にある神経叢(そう)を刺激して腸管の運動を促進する下剤などを内服して頂きます。

 痙攣性便秘とは、緊張、ストレスなどにより、大腸が縮こまった状態になり便が肛門に運ばれない状態を言います。やはり、繊維の多い食物の摂取をして、改善しない場合は、腸管内で便に水分を吸収させる薬や腸管の痙攀を押さえる薬の内服をして頂きます。軽い安定剤などが有効なケースもあります。腸管の運動を促進して排便を促す薬は、あまり使用されません。

 実は、これら4種類の便秘とは別に“要注意”の便秘があります。大腸に病気があるときの便秘です。強い炎症のあとの狭窄(さく)や、脱腸が戻らなくなり便の通過障害をきたしたり、大腸がんなどにより詰まったりすることがあるのです。そうなれば、原因疾患の治療が最優先です。食事、内服で改善されない場合はその可能性が疑われますので、専門の先生にご相談ください。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

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