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新型コロナを数字から見ると…我々の周囲にある病気の怖さに気付く

 「町医者の独り言=53=」

 コロナ禍での夏休みですが、私の心の中の雰囲気があまりよくありません。帰省している人の家に誹謗中傷のビラがまかれたり、感染した人が誹謗中傷されてそこに居られなくなったり…病気以外のことで我々日本人は病んでいるようにさえ思います。それにしても、数字だけ見れば本当にここまで大騒ぎをしないといけない病気なのか?と考えてしまいます。新型コロナウィルスを軽く見ているわけではないことをご理解いただき、以降を読み進めてもらえればと思います。

 これから示すデータは、厚生労働省のホームページを参照したものです。新型コロナの陽性者数は8月8日0時の時点で4万5439人です。ここで大切なことがあります。皆さんもよく理解していただきたいので、よく読んでください。この陽性者数というのはあくまでも検査で陽性が出た人数の事で感染者数とは違うのです。「なんでやねん!」と思われるでしょう。

 検査で陽性が出た人でも、コロナウィルスが咽頭、鼻腔に付着していただけの人は単なる陽性者です。しかし、そのコロナウィルスが生体防御機構を破って体内に侵入し、さらに増殖して、人体を苦しめるという状態が感染ということになります。ですから、「陽性」と「感染」は違うことを理解してほしいのです。

 では、上記の陽性者4万5439人のうち、入院や治療が必要な患者はどれくらいかというと1万2954人です。これは、自宅で治療している患者の数も含まれます。陽性患者数の28%で全体の約4分の1になります。すなわち4分の3の人が陽性でも治療が必要ではないということです。また、注意してほしいのですが、入院というと人工呼吸器を使ったり、対外型膜型人工肺(ECMO)を使ったりというやや大掛かりな治療を想像しがちですが、投薬治療のみの患者さんの方が多いと思います。なぜなら、その際の重症患者の数は140人だからです。

 ちなみに、ここまでの死亡者数は1039人です。実はこの数だけを見てみますと、2019(令和元)年の1月から7月までの約半年ぐらいでインフルエンザで死亡した人数3221人と比べると少ない数であることがわかります。しかも、これはコロナウィルスのように正確ではなく、本当はもう少し多いと推測されます。2018年(平成30)年の感染性胃腸炎(いわゆる下痢、嘔吐を主症状)の死亡者数は1333人で、今一番心配されている熱中症の死亡者数は1581人もいるのです。数字だけでみると熱中症のほうが、1.5倍もお亡くなりになっているのです。

 もちろん、この数字を並べただけで新型コロナを軽く見るなどということはないです。まだわからないことも多く、大きな警戒が必要です。ただ、改めて諸々の数字を確認することで、コロナウィルス以外にも注意すべき病気が身近に多くあることが分かっていただけるとは思います。新型コロナの正体が判明し、対処法が見い出され、これほど大騒ぎをしなくてもよくなる日が1日でも早く来ることを願ってやみません。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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