蘇った甲子園を激写!ファインダー越しに感じた揺れるマンモススタジアム
揺れていた。子供の頃に憧れた甲子園が目の前によみがえった。
選抜高校野球準々決勝が行われた29日、私はワイドレンズを装着した一眼レフを手に、甲子園球場のバックネット裏に腰を下ろした。グラウンドでは準々決勝第3試合の大阪桐蔭対東海大菅生が行われていた。
子供の頃から「甲子園は準々決勝が一番面白い」という言い回しをよく耳にした。だからきっと、観客も多くなるにちがいない。この日は第4試合に地元兵庫の報徳学園が仙台育英と戦うとあって、地元のファンも足を運んでいただろう。まだ超満員とは言えなかったが、外野スタンドにもよく入っており、応援団が陣取るアルプススタンドから応援歌メドレーが鳴り響いていた。新型コロナウイルス対策の規制緩和により「声出し応援」が今大会から復活したのだ。
私が初めて選抜高校野球を甲子園球場で観戦したのは中学生の頃だ。早稲田実業の荒木大輔投手が「大ちゃんフィーバー」を巻き起こしていた。鮮明に覚えているのは、“大ちゃん”以上にブラスバンドと応援団が一体となった応援合戦だ。文字通り、マンモススタンドが揺れているようだった。自分もこんな夢舞台でプレーしてみたい、と野球少年だった私は胸を躍らせた。
一眼レフならぬ“肉眼レフ”でまぶたに焼き付けた、夢舞台。なぜかファインダー越しに熱いものがこみ上げた。あのころに戻ることはできないが、憧れの甲子園は、よみがえった。(デイリースポーツ・開出牧)




