“飛んだお化け” 障害転向に手応え 得意げだったゴースト
お、おばけが浮いてる!?
いや、すみません。言い間違いです。ゴーストが“飛んでいました”。
平地の長距離が主戦場だったゴースト(セン6歳、栗東・橋口)ですが、前走・阪神大賞典の直後から障害練習を開始。およそ1カ月の訓練期間を経て、28日無事に障害試験に合格しました。
放牧には出ず在厩のまま飛越のトレーニングを開始、担当の酒井助手は初めての障害馬育成とあって試行錯誤の日々。付きっきりで調教をつけてくれる森一馬騎手と細かく打ち合わせをしながらゴーストと向き合います。
その森一騎手から「慎重過ぎるくらい慎重なところがある。それでも乗るたびに半歩ずつ、半歩ずつ着実にうまくなってる」と聞いた酒井助手。(あっ、一歩じゃなくて半歩なんや)と思いつつも、「めげずに頑張ってくれる姿に感動すらします」とパートナーの姿勢に誇らしげでした。
長距離馬だからスタミナ勝負の障害戦は向きそう、などと思いそうですが、それでも競馬である以上は速さも求められます。逆に短距離に使っていた馬の方が、自分からパッパッと飛んでスムーズに進むことも。
ゴーストの課題もそのあたりにあったようで、高く丁寧に飛ぶためスピードダウンは避けられない、さらに飛越後も前進気勢が少なくダラッと走ってしまう-。スピードを落とさず飛んだ方が結果的に楽に走れるということを、もっと覚え込ませたかったようです。
そうして迎えた障害試験。騎乗した森一騎手からは「いいよ、上手に飛べてる!」「あと少し、頑張って!」と励ましの言葉が飛ぶ。応えるように走り切ったゴースト。引き揚げてきた時には全員が合格を確信していました。
ジョッキーから酒井助手へ、「きょうの走りは今までで一番良かった。すごく頑張ったのでいっぱい褒めてあげてください」とメッセージ。去り際にカメラに近づいてくれたゴースト、周りが喜んでるのが分かっているのか、すっごく得意げな表情でした!(写真と文・石湯恒介)