【芸能】円安もなんのその!逆境も知恵と工夫で乗り越えて…変化と進化を続けるフジロック、執行役員に聞いてみた

 国内最大級の野外音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL’26」が24~26日に新潟・苗場スキー場で開催される。1997年の立ち上げからフェス文化を先導してきた老舗だが、昨年から始まった出演者と出演日の一斉発表など近年は大きく変化。それが昨年、今年と3日間通し券、土曜1日券が完売する好調なチケット販売に反映している。“シン・フジロック”について、主催するスマッシュの倉橋慶治執行役員に聞いた。

  ◇  ◇

 記者はフジロックに初年度から参加しているが、変化を感じたのは2018年からだ。ケンドリック・ラマーがヘッドライナーで、ポスト・マローンが初来日するなどヒップホップ、ポップ色が強まり、以降もSIA、ホールジー、リゾと女性ポップシンガーのヘッドライナーが続いた。倉橋氏はヒップホップやポップの台頭を「世界的な潮流の中でブッキングがああいう形になっていった」と説明。「若いお客さんのためだったり、若手のアーティストを入れ込みたいという意識はありました」と振り返る。

 その後は洋楽の大物を年々呼びづらくなっている印象があり、倉橋氏も「もう呼べなくなっています」と率直に認める。その要因は二つある。

 一つは「ヘッドラインショーでワールドツアーを組んで来日することが増えて、フェスでの単発来日ではなかなか難しくなっている」というもの。もう一つは長引く円安で「円安も大きいと思います。皆さんが見たいであろうアーティストに毎年トライはしています。ただ、お断りの連絡をいただくという…」と苦笑する。

 大物のフェス回避は世界的な傾向でもあり、倉橋氏も「そういう潮流だと思います」とみるが、手がないわけではない。昨年抜てきしたヴルフペックやフレッド・アゲインはヘッドライナーにふさわしい名演で応えてみせた。

 「今そういう狙いになっています。大爆発する一歩手前の面白いアーティストがどんどん出てきていると思うので、ヘッドライナーで出して世の中的にも盛り上がってもらってという感じです。単独では(まだ)そこまで…という人を見せて大きくしていくのもフェスの役割になってきているとは思う」

 今年のクルアンビンのヘッドライナーも「うちしかやれないでしょう」といい、「来年以降ヘッドライナーで引く手あまたになってくれたら、うれしいし、そういうのも期待してます」。

 また、昨年はVaundy、Creepy Nuts、RADWIMPSら今を時めく邦楽のトップランナーが出演し、土曜1日券と通し券が完売。今年もFujii KazeとXGが出演する土曜の1日券は早々に完売し、通し券も完売と反響は大きい。英米ロックが上位概念でなくなり、音楽がフラットに聴かれる時代を反映した新たなやり方が奏功しているように見える。

 「洋楽邦楽にこだわらず、いいバンドがいればというのが一番大きなところ。去年で言うと山下達郎さんが決まったというところが一番大きくて、一番の軸になるので、ヘッドライナー(ヴルフペック)とセカンドヘッドライナー(山下)の対比で面白く見せられたらなと。去年は分岐点ではあったかもしれない」

 昨年からは、従来は出演者を徐々に発表していたのをやめて、最初から主要ステージの大半の出演者と日割りを一気に発表する形に変更。「非常に評判はいい」という。

 「まずは来たことのない人に1日でも参加してもらいたい、また日別で最初から発表できればお客さんもスケジュールが決めやすいのではないかというところからです」

 これまでの最高動員数はレディオヘッドが最終日のヘッドライナーだった2012年。土日は完売し、計14万人を動員した。昨年は「場内の快適さも重要なので14万人を動員することはしませんが、それに付随するぐらい多くの人に来場してもらいました」という。

 今年の見どころを聞くと、倉橋氏は「水玉のお面をかぶってギターとドラムのデュオでやるアンジーヌ・ド・ポワトリーヌ。激混みすると思います」と、3日目に出演する全身水玉衣装の覆面デュオを挙げた。

 同席した若手の三田創氏は初日のロイル・カーナー、テレビ大陸音頭、2日目のジョーイ・ヴァレンス&ブレイ、トレノ、3日目のソフィア・イセラを推す。カーナーは英ヒップホップアーティスト。テレビ大陸音頭は昨年のルーキー・ア・ゴーゴー(新人発掘ステージ)で話題を呼んだ北海道のバンド。ヴァレンス&ブレイは米パンク・ラップ・デュオ。トレノはアルゼンチンのラッパー。米国のイセラは「ホラーで怖い目のビジュアル。ナイン・インチ・ネイルズ的な雰囲気があります」という。

 倉橋氏は「僕らが選べばフジロックらしさと思っていて。アンテナは同じ形で若いスタッフにも伝達されていってる」といい、「間もなく30年なんで、意識的に変えていかないとというか、新しいお客さんに新たに見ていただくためにどうすればいいかは毎年考えている」と明かす。時代の波を浴びながらも変化を恐れず、知恵と工夫でフジロックらしさを継承していく。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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