【野球】「恥を捨てろ」受け継がれる滋賀学園キレッキレ応援ダンス 「情けない気持ちや恥も」メンバー入りならず葛藤も
デイリースポーツ記者が独自目線で注目した人物、スポーツなどを掘り下げる新企画「クローズアップ」(随時掲載)。今回は19日開幕の第98回選抜高校野球大会に出場する滋賀学園の応援ダンスを取り上げる。SNSでも話題となった同校の名物。どのように受け継がれているのか、舞台裏に迫った。
今年も滋賀学園には強い味方がいる。軽快な吹奏楽の演奏に、元気なかけ声とキレッキレのダンス。選手たちの大きな原動力となっているのが応援ダンスだ。初めて夏の甲子園に出場した2016年から始まった。当時の応援団長が「やろう」と提案したことがきっかけだった。
24年の夏の甲子園ではSNSで大バズりした。当時の荒井団長から引き継いだのが、松田虎太朗団長(3年)。昨年のセンバツに続き今年も務めることとなった。荒井前団長から口酸っぱく言われていたことがある。それは「恥を捨てろ」ということだ。
松田は今年のセンバツで必死にメンバー入りを目指したがかなわず、「情けない気持ちや恥もあった」と複雑な思いもあったという。それでも「そこを全部捨ててほんまにチームのためにやろうって思っています」と先輩の言葉を胸に、今は前を向いている。応援団の練習は野球部の練習後に30分~1時間程度。松田団長を中心に、声出しや振り付けを後輩たちに伝授。そして「恥を捨てろ」という“荒井イズム”も伝えている。
応援に使用する曲や振りは、毎年少しずつ変わっている。応援ダンスが始まった時から振り付けを担当しているチアリーディング部の村井三幸コーチ(50)は、「毎年子どもたちが『やりたい』っていう曲を聞いて、意見をすり合わせて振りをつけています」と明かす。
取材した2月24日は1回目の打ち合わせが行われた。放課後の教室に松田団長らの野球部員と村井コーチ、ジャズオーケストラ部の北川先生が集まり、話し合いは2時間以上に及んだ。例年使用する曲は15、16曲と多い。「メガロバニア」、「A列車で行こう」など定番の曲に加え、「この曲やってみたいです」と新曲の案も出し合った。
村井コーチは「試合に出ている子たちが一番、安心感を持ってバッターボックスに入ってほしいなと思っている」と言い、試合に出場する選手からの意見も集めているという。大事にしているのは唯一無二の「滋賀学園らしさ」。村井コーチは「中毒性のある、ちょっと変なところ。でもキレキレっていうのは絶対」とこだわりを明かした。「一緒にやりたいな」と思ってもらえるような曲選びや振り付けも心がけているポイント。甲子園では保護者や生徒たちも一緒に応援する。覚えやすく、まねしたくなるような振りがスタンドの一体感につながる。
応援ダンスの存在はチームにとって大きなものだ。藤川倖生主将(3年)は「打席の中でもすごく聞こえる。苦しい時に後押ししてくれるというか。いつもスタンド組の応援があるからこそ、自分たちのプレーが発揮できていると思います」と感謝。山口達也監督(54)も「去年の秋のスタンドの映像を見てると、まだ照れがあるので。このセンバツはどこまでやれるのかなと思います」と進化した応援を期待していた。
SNSでバズった経験もあるだけに、松田団長は「甲子園だけじゃなくて、世界中の人に認識されるような応援だと思ってます」と胸を張る。“世界一”の応援でチームの勝利を後押ししていく。(デイリースポーツ・アマ野球担当 山村菜々子)
◆松田 虎太朗(まつだ・こたろう)2008年10月3日生まれ、17歳。奈良県大和高田市出身。179センチ、95キロ。右投げ左打ち、内野手。小学1年から片塩ベアーズで野球を始め、中学は橿原コンドルに所属。パワフルで飛距離抜群の打撃が持ち味。50メートル6秒6、遠投90メートル。趣味は筋トレで特技は一発ギャグ。好きなプロ野球選手は阪神・佐藤輝明。





