【野球】夏の甲子園 心温まる敗者からのエール 試合後の慣習となった光景 仙台育英・須江監督から「優勝だよ!」の沖縄尚学が決勝へ
第107回全国高校野球選手権は23日の決勝を残すのみとなった。今大会、仙台育英・須江監督の試合後の行動が注目を集めたように、近年は敗者から勝者へエールを送る光景がよく見られるようになった。
記者が始めて気づいたのは大阪桐蔭の西谷監督だった。甲子園歴代最多となる春夏通算70勝をマークしている名将。一塁側、三塁側で状況の違いはあるが、勝った際には必ずベンチ前で相手の指揮官に頭を下げ、握手をかわす。自チームが敗れても、同様に握手を交わしてエールを送る。
インタビューでも「勉強させていただきました」「非常に強いチームでした」と相手をたたえ、勝っても謙虚な姿勢を崩さない。負ければ素直に相手の力を認める。担当していた時に見た指揮官の姿勢こそが、2010年代に2度の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の強さの要因だと感じていた。
そして今大会、3回戦で激突した沖縄尚学と仙台育英。大接戦の末に延長タイブレークで敗れた仙台育英・須江監督は沖縄尚学・比嘉監督に声をかけ、選手1人、1人に「頑張れ!」「優勝だよ!」とエールを送っていた。泣きじゃくる選手たちも勝者の列を向いて声をかけていた。試合後のインタビューでは「もう沖縄尚学の優勝を願うのみです」と語っていた指揮官。その思いを行動で示した。
昨年も早実の和泉監督が大社に敗れた際、ベンチ前で三塁側から引き揚げてくる監督やナインにエールを送っていたのも記憶に新しい。「お互いの生徒が美しかった。負けは覚えられてないけど、今日の敗戦は監督を辞めても覚えていると思う」と語り、「生徒たちは本当によくやった。60歳すぎてこんなに良い試合経験を経験させてもらえるとは」という感謝の気持ちがエールへとつながった。
中継に映らないところでも、新たな慣習として浸透しつつある勝者へのエール。単に勝敗を競うだけでなく、教育の現場でもある高校野球。試合後の光景が選手たちの成長にもつながっていくのではと思う。(デイリースポーツ・重松健三)





