【サッカー】元なでしこ・近賀ゆかり氏が語るドイツW杯優勝直後の後悔とは? WEリーグ特任理事としての決意

 元サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」メンバーで、昨季で現役引退した近賀ゆかり氏(41)は7月からサッカー女子・WEリーグの特任理事を務める。2011年ドイツW杯は右サイドバックで全試合にフル出場し、日本の初優勝に貢献。“なでしこフィーバー”の中心にいた。だが、その後の女子サッカーは人気定着に至っていない。当事者だからこそ感じている後悔とは。苦い経験を糧に特任理事としての決意を語った。

 7月下旬、都内で初の理事会を終えた近賀氏。ユニホームではなく白Tシャツにジャケットと、ビジネススタイルの新鮮な格好で報道陣の前に現れた。「経営のこととかは正直分からないので、これまで競技してきた中で感じたことを伝えていきたい」と、率直な思いを語った“新人”。野々村芳和チェアマンは「日本の女子サッカーが大変なところから世界一までを経験されているので、いろんな意見をもらえたら」と期待を寄せた。

 11年の世界一直後、近賀氏ら優勝メンバー7人が在籍したINAC神戸の試合には、当時の女子リーグ創設以来最多となる1万7812人が集結。448人だったW杯前から40倍近い観客数だった。MF澤穂希や中心選手が連日のようにテレビ番組に出演した、なでしこ人気絶頂の時代を知る近賀氏。ただ「あの時は異常というか…。これがずっとじゃないだろうなっていうのは、すごく盛り上がっている中でも感じていた」と振り返る。

 アジア予選で敗退した16年のリオ五輪以降は、選手自身も言葉にするほど、なでしこ人気は低下した。近賀氏は「あの時チャンスを逃してしまった印象がある」と振り返り、人気絶頂時に「多分、何もしなかった」ことが“なでしこ離れ”の一因と分析。ビッグウエーブに乗り切れなかった後悔と反省を口にする。

 「いろんなところで『あの時にやっておけばよかったのにね』って言われることが多かった。ただ、それはもう帰ってこない。また、ああなったときに、WEリーグとして『ドン』って出せる何かを準備する。その方がより大事。だからあの経験を次に生かしたい」

 当時から根強いファンが女子サッカーを支えていることは変わらない。さらなる人気向上へ、目的は新規層の開拓だ。昨季は同リーグで年間総入場者数が過去最多を更新。近賀氏も所属していた広島で「観客動員1万人プロジェクト」にお祭り実行委員会として関わり、目標の倍以上となる2万人を達成。手応えとともに前へ進んでいる。

 「リーグにとって大きなポイントだった。観客数に比重が高まったというか、選手が意識するようになった」

 全盛期を知るからこそ、使命感がある。特任理事に立場を移し、国内リーグからなでしこ人気を復活させていく。(デイリースポーツ・松田和城)

 ◇近賀ゆかり(きんが・ゆかり)1984年5月2日、神奈川県出身。ポジションはDF。湘南学院高から日体大に進学。03年に日テレVに入団し、国内ではINAC神戸、広島などでプレーした。日本代表では右サイドバックとして11年ドイツW杯優勝、翌年のロンドン五輪銀メダル獲得に貢献。14年にイングランドのアーセナルへ移籍し、その後オーストラリア、中国でもプレー。25年に広島で現役を引退した。国際Aマッチ通算100試合5得点。

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