【野球】ヤクルト ポスト村上候補金の卵の現在地 ドラ2高卒新人モイセエフ
ヤクルトに無限の可能性を秘めた“金の卵”がいる。ドラフト2位のモイセエフ・ニキータ外野手(18)=豊川高=は、両親がロシア出身で恵まれた体を持つ左打ちのパワーヒッターだ。“ポスト村上”の候補としても期待される高卒ルーキーの現在地に迫った。
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逸材であることは間違いない。ロシア出身の両親を持つモイセエフのことだ。がっしりした体格を持つ高卒新人が、実力の片りんを披露したのは6月24日のイースタン・日本ハム戦(戸田)。五回に右翼の防球ネットを直撃する特大の3号ソロをかっ飛ばして周囲の度肝を抜いた。
春季キャンプから見守ってきた池山隆寛2軍監督は「まだまだこれから」と期待を込めて言う。「今は体の硬さが目立つ。今はパワーを生かしながら柔軟性をつけていくというところに重きを置いている状態。練習して試合で試すことの繰り返し」。柔軟性を高めるためのトレーニングを重ね、同時に実戦で経験を積んでいる。現役時代に球団で歴代屈指の強打者だった池山2軍監督が、魅力は「長打力」と明言し、将来的にも「長打力を生かしたプレー」に期待する。
課題は山積みだ。今季2軍戦は40試合に出場し打率・161、4本塁打、12打点。モイセエフは「うまくいってないと思う。ちょっとずつ成長できて2年後、3年後とかにしっかり活躍できる選手になりたい」と語る。プロのレベルの高さも痛感し「投手の球速もそうですし、やっぱり球の質、変化球のキレが違う」と感想を口にした。
偉大な先輩から“金言”を授かった。上半身の故障で2軍調整が続く主砲・村上からアドバイスを受け、「こっち(2軍)にいる時にこそ聞けることもたくさんある。本当にありがたいと思っています」と感謝する。“師匠”からの教えは「『どんなに結果を残したとしても、てんぐにならない。謙虚さを忘れない』と言われています」と明かし、自身の大切な言葉として胸に刻んでいる。10日のイースタン・楽天戦(戸田)では故障から復帰を目指し2軍調整中の村上が3番に座り、6番に入ったモイセエフが3安打1打点と躍動した。
明確な目標がある。「打率も残せて長打やホームランも打てるようなバッターになりたい。村上さんみたいなチームの主軸となるバッターになりたい」。大きな大きな55番の背中を追いかけている。村上は今季終了後にポスティングシステムを利用してメジャー球団に移籍する可能性があり、同じ左打ちでパンチ力が売りの新人は“ポスト村上”の候補だ。将来、チームの主砲として活躍するため、“ダイヤの原石”が心技体で鍛錬を積んでいく。(デイリースポーツ・伊藤玄門)




