【野球】阪神・桐敷 打たれても取材対応が変わらない理由 「感情を出したら負け」父の教えをプロでも体現
悔しい結果となっても、阪神・桐敷拓馬投手(26)は逃げることがない。10日・西武戦(ベルーナ)では2点リードの八回に登板し、逆転を許して今季初めて黒星を喫した。
1/3回を5安打4失点とまさかの炎上。チームの連勝も4で止まってしまい、やりきれない思いがあっただろう。しかし試合後は「ネビン選手のところで(フォークを)落としきれなかった。あそこで結果が変わったかもしれない。落としきれなかったところが反省するところ」などと冷静に分析し、丁寧に取材対応した。
14日・楽天戦(楽天モバイル)では2点リードの七回、同点に追いつかれ、1死も奪えず降板。2試合連続の救援失敗にも試合後は「言い訳はできないので。自分がまたやってしまったので、切り替えて頑張るしかない」と取材から逃げることはなかった。
どんなに打たれても桐敷はしっかりと取材対応する。そう簡単にはできないことだと思うが、本人は「わからないですけど」とはにかみ、「聞かれたから、今思ってることを言っているだけ。特に丁寧に答えようとか、詳しく言おうとかいう意識はない」と明かす。
試合後直後は感情的になる時もあるだろう。だが、いつもと取材対応が変わらないのはなぜか。桐敷にはこんな信念があるからだ。「自分の中では、感情を出したら負けかなと思っている。それを極力出さないようにするのが、自分にとっては必要なこと」。この根底には、父・徹さんの教えがあるという。
少年野球の頃から、感情を態度に出すと徹さんによく怒られた。打者を三振にとっても「相手だって悔しいんだから、大きくガッツポーズしちゃだめだよ」と教えられ、「投げている時は冷静に真剣に」とマウンドでの心構えを説かれてきた。本当は褒めたかった徹さんが息子を厳しく育ててきたのは、調子づいて、てんぐになってほしくないから。桐敷は「父親から言われていたことが今、生きてるのかなと思います」と父の思いをプロ入り後も体現している。
昨季70試合登板のフル回転で、最優秀中継ぎのタイトルまで獲得した活躍ぶりだったが、決しておごることはない。「10日の西武戦でも何がダメだったかっていうのは明白だったので、答えました」。マウンド以外でも常に謙虚で冷静。力強い投球だけでなく、そんな人柄にも多くの人が魅了されているのだろう。(デイリースポーツ阪神担当・山村菜々子)





