阪神 ふらつく中で中野拓夢が見せた優しさ ヘルメットにヒビの頭部死球で表情硬まる後輩に 左手を振った気遣いのワンシーン

 「阪神1-3ソフトバンク」(22日、甲子園球場)

 甲子園球場が凍り付くシーンだった。七回、中野拓夢内野手が頭部に死球を受けた。その場に倒れ込み、担架が搬送された中、気丈にも起き上がって一塁へ向かおうとした直後、心が洗われるようなワンシーンがあった。

 ホーム付近では藤川監督、小久保監督もいた中、ずっと心配そうに中野の姿を見つめていたのが死球を当ててしまった津森。東北福祉大の先輩&後輩の関係で、1学年下の右腕は表情を失ったままだった。すると起き上がった中野がふらつき、トレーナーに支えられながらも左手を振って「大丈夫」とアピール。ヘルメットにヒビが入るほどの衝撃を受けながらも、後輩を気遣う優しさがにじんだ。

 その後、病院を受診し「頭部打撲」と診断された中野。今後について藤川監督は「大丈夫だと今のところは思います。まともに当たったより、少し滑ったように当たって」と試合後に説明した。

 野球という競技で死球は避けられないアクシデント。その中でお互いがお互いを思いやる姿勢が見られたことに安堵の気持ちを覚えた。

 それも直近まで行われていたMLBのドジャース-パドレス4連戦では、死球の応酬となり、元阪神のスアレスが大谷に与えた死球は“故意”とMLB機構に認定され、3試合の出場停止処分が下された。右腕は異議申し立てをしている段階だが、第2戦で大谷が右太ももに死球を受けたシーンなどは野球ファンの誰もが目を覆った。第4戦ではタティスが死球を受けた直後、両チームの乱闘騒ぎにも発展し、ドジャースのロバーツ監督とパドレスのシルト監督が退場処分を受けた。それぞれ1試合の出場停止と罰金が科せられた。

 死球は時に長期離脱を引き起こすだけでなく、後遺症、さらに選手生命の危機にもつながってしまう。避けられないアクシデントだからこそ、その後をどうするか-。中野と津森が見せた行動がスタンダードになっていけば、お互いに遺恨は残らない。そう思わせるワンシーンだった。(デイリースポーツ・重松健三)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス