【野球】“低反発バット元年”を過ごした球児の今 全日本大学選手権で1年生が躍動
高校野球に低反発バットが導入されて約1年が経過した。初年度を過ごした球児の多くは、木製バットを使用して次なるステージで活躍している。6月に開催された全日本大学野球選手権でも木製バットに早くも適応した1年生野手が躍動。“低反発バット元年”を経た選手の今に迫った。
全国の舞台で早くも“低反発バット元年”の卒業生が躍動した。全日本大学野球選手権では出場26チームで34人の1年生野手がベンチ入り。東都大学野球代表の青学大、東京六大学野球代表の早大と全国屈指の強豪にもルーキーがスタメンに名を連ねた。入学からまだ間もないうちに木製バットに対応し、大舞台で爪痕を残した。
早大の徳丸快晴外野手(1年・大阪桐蔭)は「7番・DH」で2試合に先発し、東亜大との初戦では四回2死満塁で右翼線を破る走者一掃の3点適時二塁打をマーク。続く東海大戦でも適時打を放った。青学大の大神浩郎外野手(1年・福岡大大濠)も3試合に先発して東北福祉大との準決勝で右越え2点適時二塁打を記録。東海大の砂子田陽士外野手(1年・八戸学院光星)は2回戦・早大戦の八回1死満塁に代打で出場し、グランドスラムを放った。
いずれも昨年4月から高校野球に導入された低反発の新基準バットを使用していた選手。砂子田は「芯に当たった時の打球のノビが金属バットよりも木製バットの方が飛ぶ。木の方が自分に合っていると思う」と打感の違いを口にした。従来、金属バットから木製バットに持ち替えれば飛距離に苦戦する打者も多い印象だが、低反発バットからの移行で木の方が飛ぶ感覚を抱く選手も増えてくるかもしれない。
また、飛ばないバットで打つために磨いた技術が木製バット適応に直結する可能性もある。青学大・大神は「前のバットだと当たったら飛んでいたんですけど、(低反発バットは)振り切らないと自分みたいなタイプは飛ばない」と導入以降はスイング力の強化に努めてきた。大学入学後も強く振ることを意識し続け、高校時代とは出力が段違いの大学生投手に早くもアジャスト。「慣れれば木の方がいい」と好感触を口にした。
低反発バット導入当初の高校球界では守り勝つ野球がトレンドとなる兆候が見えたものの、現場は打つことを諦めていない。「芯で捉える」「強く振る」の打撃の基本をより重視した指導が浸透してきており、球児も新基準バットに徐々に適応。今春センバツは昨年と比べ、本塁打数、安打数、総得点も増加した。
今年の大学生ルーキーが示した低反発バットの恩恵。高校卒業後から日の目を見る打者が増えてくるかもしれない。(デイリースポーツ・北村孝紀)





