【野球】ドラフト1位ルーキーの現在地 下馬評通りの活躍 期待外れ 二刀流高校生
プロ野球は各球団がシーズンの3分の1を消化して、3日から交流戦に突入する。セ・リーグでは阪神が両リーグ最速で30勝に到達し、パ・リーグでは日本ハムが2位・オリックスに2・5ゲーム差をつけて首位を快走しているが、各球団のドラフト1位ルーキーの現在地はどこにあるのか。
阪神の伊原陵人投手(NTT西日本)は、開幕から6試合はリリーフ登板で無失点。4月20日の広島戦でプロ初先発し、5回無失点でプロ初勝利を挙げると、その後も順調に白星を積み重ね、ここまで4勝1敗、防御率1・09と首位を走るチームの先発ローテを担う期待通りの働きを見せている。
大学時代から抱えていた左肩痛のリハビリ期間を経て、中日・金丸夢斗投手(関大)は5月5日のDeNA戦でプロ初先発。6回2失点の好投を見せながらプロ初黒星。以降も6回1失点、6回無失点と3試合連続でクオリティースタートをマークしているが、なかなかプロ初勝利を挙げられていない。それでもゆったりとした投球フォームから右打者の内角を突く直球は魅力十分で、初勝利は時間の問題だ。
広島の佐々木泰内野手(青学大)は、3月5日のDeNAとのオープン戦で左大腿裏の肉離れを発症して開幕1軍を逃したが、5月20日にプロ初昇格を果たすと、同22日のヤクルト戦でプロ初安打を含むマルチ安打。ここまで7試合にスタメン出場し、打率・192、0本塁打、0打点ではあるが、思い切りのいスイングは新井監督も買っており、1軍の水に慣れてくれば面白い存在だ。
最速160キロを誇るヤクルトの中村優斗投手(愛知工大)は1月の自主トレ中に下半身のコンディショニング不良で大幅に出遅れた。まだ1軍登板こそないが、2軍では6試合に登板して0勝0敗、防御率2・25。24イニングを投げて23奪三振と順調に復調過程をたどっている。
DeNAの竹田祐投手(三菱重工West)は3月の巨人とのオープン戦で打球が左足に直撃して降板するアクシデントがあった。ここまで1軍登板はなく、2軍では7試合に登板して0勝4敗の防御率3・62。27回1/3を投げて被安打36と被打率が高く、成長が待たれる。
巨人・石塚裕惺内野手(花咲徳栄)はセ・リーグ唯一の高校生ドラ1。3月の2軍戦で左有鉤骨鉤骨折が判明し、復帰に時間を要した。ここまでは2軍戦で8試合に出場し、打率・231、0本塁打、0打点となっている。
パ・リーグでは楽天の宗山塁内野手(明大)が、今季50試合中45試合でスタメン出場し、打率・246、2本塁打、13打点。5月22日の西武戦でプロ初のサヨナラ打となる中犠飛を放ち、広い守備範囲と堅実なプレーで遊撃のポジションを担っている。
オリックス・麦谷祐介外野手(富士大)は、38試合に出場して打率・254、0本塁打、5打点。4月29日のロッテ戦で12球団の新人一番乗りでサヨナラ打を放ち、自慢の足を生かしてリーグ4位タイの8盗塁。ここまで失敗はわずかに1度と成功率の高さが際立つ。
ロッテ・西川史礁内野手(青学大)は宗山と同様に侍ジャパンにも選出された逸材で期待は高かったが、不振と体調不良でここまで出場選手登録を2度抹消されるなど、打率・145、0本塁打、3打点。開幕スタメンを張り、開幕から出場5試合連続安打こそ放ったが、プロの厚い壁にぶち当たっている印象だ。
ソフトバンク・村上泰斗投手(神戸弘陵)、日本ハム・柴田獅子投手(福岡大大濠)、西武・斎藤大翔内野手(金沢)はいずれも高校生。ソフトバンク・村上は2軍戦での登板はゼロ。二刀流の日本ハム・柴田は2軍で5試合に登板して失点はソロ被弾による1点のみで防御率1・50。打者としては24試合に出場して打率・109、0本塁打、3打点。右肩痛からの復活を目指す西武・斎藤はここまで2軍戦2試合に出場し、初出場となった5月4日のオイシックス戦で初安打初打点とマークした。
高い素質を評価され、晴れのドラフト1位で指名された12選手。即戦力として期待された選手もいれば、将来性を買われた選手もいる。アマ時代とは異なる野球漬けの日々を過ごす中で、レベルアップを模索している。(デイリースポーツ・鈴木健一)