【野球】阪神・村上 無双の裏に意識改革 「フォアボールは無駄」開幕完封目前に九回2死交代を糧

 2試合連続完封と好投でチームをけん引する村上
 3月28日の開幕戦で9回2死から降板する村上
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 阪神・村上頌樹投手(26)が無双状態の好投を続けている。10日・中日戦では自身初の2試合連続完封勝利を、マダックス(100球未満)で達成。7試合でリーグトップの6勝を挙げ、早くも自己最多の完投数「2」に並んだ。MVPや最優秀防御率のタイトルを獲得してブレークした23年のような快進撃。要因を探ると、「無駄な四球」への徹底した意識付けがあった。

  ◇  ◇

 首位を走る阪神の原動力となっている村上。投球内容で特筆すべきは四球の少なさだ。

 7試合に登板して50回2/3で与四球はわずか5。抜群の制球力で4試合にわたって29イニング連続無四球を継続中だ。「フォアボールは無駄なんで。今年減ってるので、そこら辺がいいのかなと思います」とうなずく。

 四球への意識は開幕投手を務めた3月28日・広島戦(マツダ)でより一層高まった。

 同戦は八回を投げ終えて111球。4点リードで九回のマウンドへ。先頭を打ち取った後、矢野にフルカウントからこの日初めての四球。小園に右前打でつながれた後、モンテロは二飛に打ち取って九回2死一、三塁とした。だが、完封目前の守護神の岩崎に勝利を託すことになった。

 「先発が九回(のマウンド)に上がることはなかなかないこと。上がれて、フォアボールというのは本当にもったいないと開幕戦の時に感じた。フォアボールを出さないというのと、先頭を大事にというのを意識していたので」。開幕投手の栄誉の裏で感じた後悔を、2戦目以降に糧として生かしている。ここまでイニング先頭打者には一度も四球を与えていない。

 与四球率1・93だった昨季は7勝11敗、防御率2・58と苦しんだ。今季は与四球率0・89。まだシーズン序盤ながら、リーグMVPと新人王に輝いた23年の同0・94よりも良化している。

 四球減の理由を「カウントを取りたいところでしっかり変化球、真っすぐで取れているので。それで優位に進んで、フォアボールが少なくなっているんだと思う」と自己分析。「ただ、投げる時はフォアボールのことはあまり意識せずに、バッターとの勝負ということだけを意識している。勝負した結果、(四球が)出ていないという感じです」と付け加える。

 四球に対してだけでなく、他にも意識改革があったという。味方の得点直後や、味方がチャンスを逃した直後のイニングに点を失うと、流れが変わるというのが野球のセオリー。該当する場面を迎えた投手は、より一層の力が入りそうなものだが、今季の村上は違う。

 「今年は試合の流れを気にせずに投げている。あんまり考え過ぎずに、平常心で。『自分のピッチングをしよう』、『先頭(打者)だけ切ろう』とか、そんな感じです」

 その積み重ねが白星につながっている。「自分の中での考え方ですし、誰かに言われたとかでもないですけど、いい方向に向いていってるので」と納得顔。己の信念を貫く投球で、チームを勝利へと導いている。(デイリースポーツ・丸尾匠)

 ◆3試合連続完封メモ 村上は2日のヤクルト戦、10日の中日戦と2試合連続で完封勝ち。3試合連続完封は2018年9月から10月にかけて巨人・菅野が達成しており、16日先発予定の広島戦でもシャットアウトすれば7年ぶりの快挙となる。また、阪神としては66年7月のバッキー以来、59年ぶりの偉業を目指す。球団では過去に真田重男(52年)、村山実(59年)、中井悦雄(63年)、バッキー(65、66年)が達成している。なお、セ・リーグ記録は小山正明(阪神)が62年7月に記録した5試合連続完封。

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