【野球】なぜ阪神・藤川監督は富田を3回1失点で交代させたのか 「この日に懸けた先発投手の思いは…」 阪神OBが指摘

 「巨人1-10阪神」(5日、東京ドーム)

 阪神が今季最多10得点をマークし、今季初勝利を狙った巨人・戸郷を打ち崩した一戦。阪神・藤川監督は四回に森下の4号ソロで同点に追いついた直後、先発の富田を3回3安打1四球1失点で坂本とのバッテリーごと交代させた。四回からビーズリーと梅野がコンビを組み、そこからの無安打無失点リレーで勝利を引き寄せたのだが、阪神OBでデイリースポーツ評論家の中田良弘氏は、この藤川采配に疑問符を投げかけた。

 なぜ、藤川監督は三回で富田を降板させたのか-。

 指揮官は試合後、この継投策について「元々プランの中にあったひとつで、ビーズリーと2人でいくというところが、うまくはまったかなと思いますけどね。勝負をしなければいけないですから。今日決めたことでも別にないし、その辺りはまだ5月が始まったばかりですから」と説明し、バッテリーごと交代させたことについては「どうでしょうね、その辺りは。勝負の展開ですからね。その日、その日にはよりますけど」と真意を詳細に語ることはなかった。

 これに対して中田氏は「プランにあったとして、それは首脳陣の中で温めていたものなのか、それとも富田も承知していたことなのか。降板後の富田は『三回の先頭に四球を許し、一番良くない点の取られ方をしてしまいました。中継ぎのみんなに申し訳ないです』とコメントしていた。この言葉を聞く限り、登板前から三回までと言われていたとは思えない。富田や坂本にアクシデントがあったようにも見えない中で、試合序盤でバッテリーごと交代させてるんだから」と、富田が状況によっては早期継投もあり得ると告げられていたか否かによって、交代の受け取り方は異なるとの見方を示した。

 中田氏は試合中、バッテリーごと交代となったことに懲罰的な意味合いを感じ取っていた。先頭打者に四球を与えた三回無死一塁。富田は高めに直球を投げ込み、犠打を試みた戸郷に2球連続でファウルにさせていたが、1ボール2ストライクから変化球を選択し、高めに浮いた球を一塁前に転がされた。

 「俺は変化球はアリだと思った。変化球なら失敗すると思ってた。ただ、少しボールが浮いてしまったことでバントを決められた。ベンチからしたら、なんで真っすぐを押し通さなかったんだ!と思ったのかもしれない」と推察していた。

 直球が140キロ程度の富田から、150キロを超えるビーズリーへのスイッチ。緩急差や球種で相手の目先を交わし、バッテリーごと代えることで配球傾向にもスパイスを加える意図などもあったのだろうか。藤川監督が腹案として温めていた積極采配は白星につながった。

 だが、中田氏は先発投手の気持ちを思いやる。

 「先発投手がこの一日に合わせて、どれだけの思いを注いできたのか。この日に懸けた先発投手の思いは置き去りになっていいのか。それは先発経験のある藤川監督も理解できるはず。俺は富田が疑心暗鬼になってしまうことを心配している」と左腕の心中をおもんぱかった。

 中田氏は起用法、起用の意図などが選手に伝わっていることが理想だと前置きした上で、「内部事情はよく分からないけど、勝ったからいいで済まされてほしくはない。先頭打者に四球を与え、先制点を奪われた過程は決してほめられるものではないが、それでも最少失点でしのいだ。さあ、これからと思っていた矢先に交代を告げられた心境を思えば、次回以降の登板に少なからずの影響が残らないことを祈るばかりだ」と、より緊密なコミュニケーションが築かれていく未来を切望した。(デイリースポーツ・鈴木健一)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス