【野球】なぜ阪神・岡田彰布顧問は藤川球児新監督の方針に苦言を呈したのか 「もっと締めなアカン」厳しく指摘

 「阪神春季キャンプ」(9日、宜野座)

 なんで変えたんやろか?昨年まで2年間、阪神を指揮し、18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一を導いた岡田彰布オーナー付顧問の表情が曇る。視察に訪れた宜野座キャンプでのシートノック。昨秋のキャンプだけでなく、自らが監督時代に指示してきたこととは異なる光景を目にすると、「あんまり良くないよな、連係。ちょっとあまりにもな、スローイングが悪いやろ」と苦言を呈さずにはいられなかった。

 過去2年間、外野手が三塁や本塁に送球する際には、内野手のカットマンに低く送球することを厳命していた。だが、藤川新監督になった昨秋から、外野手が直接、捕手や三塁手に返球するケースが増え、投げる距離が長くなったこともあって、送球自体が乱れる場面も目にした。

 岡田顧問がカットマンの必要性を声を大にして訴える理由のひとつは、本拠地とする甲子園の内野が土のグラウンドであるということだ。「どんだけイレギュラーしてる?ワンバウンドで。甲子園は余計怖い。人工芝じゃないからな」。人工芝であればイレギュラーする確率は低い。だが、内野が土であれば、ほんの小さな凹凸がバウンドした際に送球の方向を変えてしまう危険性があるというのだ。

 昨年の85失策はリーグワースト2位。7年連続リーグワーストの汚名は避けたが、それでも失策数は前年と同数だった。「それだけこっちが言っても、去年あんだけエラーしてるわけやからな。もっと締めなアカンいうことと思うよ」。このままではまた失策が増え、それに伴って失点につながってしまうとの考えにつながったのは容易に推察できる。

 セ・リーグ球団でかつて守備コーチを務めたOBによれば、「理想は外野手の肩が強くて、捕手や三塁手などが捕りやすくて、タッチもしやすい低い高さのノーバウンド送球をしてくれるのが一番だろうね。そうすれば打者走者や一塁走者などに次の塁を奪われることもないし、送球がイレギュラーすることもないわけだから」と指摘した。

 同氏は、カットマンを利用することで「一人で投げきる場合より、時間が余計にかかることは間違いない」とも言った。目的地までの到達タイムに遅れは出るが、チーム全体を見渡すと全員が強肩という訳でもない。そこに送球の正確性も問われる。だからこそ、ミスが出る確率を下げる手法を選択することが大事だと岡田顧問は考える。

 キャンプはまだ序盤。紅白戦が始まり、今後は練習試合、オープン戦と調整の場は移っていく。練習、試合を重ね、カットマンを利用する、利用しないパターンを何度も経験する。それらの結果に基づいて方針が去年までのようになることもあれば、このまま進んでいく可能性もある。最後は指揮官の決断になるが、藤川監督は今、方針が変わったことに伴う選手の対応力、目的意識、取り組み方など、いろんなポイントに目を凝らしているのではないだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス