【野球】なぜ西武・松井監督はわずか1年ちょっとで途中休養となったのか 逆転勝ちで連勝後に発表となったワケ 評論家が分析

 「西武5-2オリックス」(26日、ベルーナドーム)

 逆転勝ちで連勝を飾った試合後、松井稼頭央監督が途中休養し、渡辺久信GMが27日付でGM兼監督代行に就任するという電撃発表があった。球団発表によれば、球団と松井監督の双方協議によって合意したとのことだが、なぜ松井監督はわずか1年と少しでユニホームを脱ぐことになったのだろうか。

 2年契約満了を待たず、指揮官がチームを去った。開幕直後は最大で貯金3と好スタートを切ったが、4月9日のロッテ戦から7連敗を喫すると、3度の4連敗を挟んで5月14日の日本ハム戦から今季初の8連敗と借金は最大17にまで膨れ上がった。

 それでも、だ。25日のオリックス戦では3点を追った七回に一挙4点を奪って逆転勝ち。泥沼の連敗地獄から脱すると、翌26日の同戦でも1点を追った八回に一挙5点を奪って2試合連続の逆転勝ちを収め、28日から始まる交流戦に向けて反転攻勢が整いかけたように思われた。

 松井監督は「厳しい戦いが続いているなか、変わらず声援を送り続けてくださるライオンズファンの皆さまの期待に応えられず、大変申し訳なく思っております。何とか巻き返しを図ろうと、コーチや選手たちと共に戦ってまいりましたが、指揮をシーズン途中で渡辺GMに託すこととなりました。昨年からこのチームを率いて、選手たちの成長には手応えを感じていましたが、それを結果に繋げることができなかったのは、指揮官である私の責任です」と球団を通じてコメントを発した。チームを勝たせられなかった責任を感じつつ、最後まで職責を全うできなかった無念さも漂わせる言葉だった。

 阪神OBの中田良弘氏は「今回の監督休養はおかしいでしょ。まだ1年だよ、監督になって。球団は松井に何を期待してたんだって話だと思うんだよね」と憤りを隠さなかった。続けて「この戦力で勝てっていう方が難しい話。そりゃ監督ってのは預かった戦力をうまくやりくりしていく手腕が問われるものだけど、どう見たって打線に破壊力が足りてないでしょ?」と疑問符を投げかけた。

 昨年は正捕手で中軸を担っていた森友哉がFAでオリックスに移籍し、山川が女性問題でわずか17試合の出場に終わるなど、就任1年目は65勝77敗1分けで5位に沈んだ。昨オフには山川がソフトバンクにFA移籍。新外国人としてメジャー通算114本塁打のアギラーと、同27本塁打のコルデロを獲得したが、アギラーは30試合の出場で打率・204、2本塁打、10打点と苦しみ、右足首痛の影響もあって8日に出場選手登録抹消。コルデロも14試合の出場で打率・176、1本塁打、3打点で4月15日に出場選手登録を抹消されている。

 中田氏は「ここまでチームが不振に陥った原因は当然、監督、選手にもあると思うけど、一番は戦力を整えられなかった球団、フロント、GMの責任じゃないか。そのGMが責任を取るんじゃなくて監督代行になるっていうんだから、俺としては理解できない人事。球団からすれば、監督経験もあるし、自分の責任においてチームを立て直せという見方もできるかもしれないけど、じゃあ松井監督の存在ってなんだったんだ?っていう違和感が残る」と指摘した。

 他球団では2年連続最下位に終わっていた日本ハムの新庄監督が貯金7の2位と躍進し、同じく2年連続最下位だった中日も借金2ながら、首位・阪神まで4ゲーム差の4位につけている。新庄監督、立浪監督は3年契約とされており、2年契約の松井監督とは契約年数の違いがあるとはいえ、奥村球団社長は3位ながら2022年限りで辻発彦監督から後任監督へのバトンタッチを決めた際、「首脳陣の若返りを目的としている。このタイミングが後進に引き継ぐベストの時期だと判断した」と説明していた。

 中田氏は「連勝後に休養発表というタイミングも謎。8連敗した段階で決まっていたことなのかもしれないけど。個人的には松井監督が不憫でならない」と語った。

 残り98試合。首位・ソフトバンクとは15・5ゲーム差。2013年以来、11年ぶりに監督を務める渡辺GMが背負った使命は重いが、チームを立て直す時間は残されている。渡辺監督代行の手腕、そしてなにより、選手達の反発力に注目している。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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