【野球】マツダスタジアムに〝花道〟があるワケ ベンチからホームベースへ土の一本道 秋山&小園が教えてくれた
マツダスタジアムにある“花道”をご存じですか?同球場には内野ファウルゾーンにも天然芝が敷き詰められている中、ベンチからホームベースに一直線に伸びる土の道ができている。この道の役割とは?またそこを通って打席に向かう選手の話を聞くと、裏方との人間模様が浮かび上がってきた。
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日々何げなく見ているグラウンド。見逃しがちだが同球場には12球団の本拠地で唯一無二の特徴がある。土の“花道”は2009年の開場当時から存在しており、日本の球場では、ほっともっとフィールド神戸にもあるが、近年はメジャーの球場でも見ることの少なくなった独特のデザインだ。
この“花道”の役割とは?グラウンドを管理する施設運営部の石原裕紀次長に聞くと「道順という意味で、天然芝を傷つけない意味合いもある。選手たちが『通ってくれればなあ~』という程度の感じです」と話す。
同球場はフェアゾーンのみならずファウルゾーンにも天然芝が敷き詰められた理想のボールパーク。一方で「土はならせばすぐに回復することができるが、芝生は植物だから傷ついたら、また明日には生えてくるというものではない」と石原次長。きれいに整備された芝を維持するためには大変な労力と時間が費やされている。
試合中に見てみると、ほぼ毎打席、土の“花道”を通って打席に向かう選手がいた。秋山と小園だ。ネクストバッターズサークルはベンチよりややバックネット裏寄りに設置されている。ということは“花道”を通って打席に向かうには数歩の遠回りが必要になる。
小園に“花道”を通って打席に向かう理由を聞くと、「荒らしたらダメかなと思って。気づいたらやっていた。そんな感じです」と教えてくれた。「僕らがやりやすいようにやれている裏にはグラウンドキーパーだったり、裏方さんがいる。このグラウンドは整備もすごく難しい。僕にはできないと思います」。感謝の思いが無意識の行動となって表れていた。
秋山も「決まりはないけど、それ用なのかなと思っていた」と無意識に通っていた様子。石原次長は「秋山選手からは特にグラウンドへの配慮を感じる。グラウンドキーパーの権限が日本よりも強いメジャーを経験したからこそのリスペクトなのでは。選手の小さな心遣いがうれしい」と感謝する。
もちろん、“花道”を通っていない選手が気遣いがないというわけではない。カープの選手は練習中なら毎日キャッチボールをする位置を変えるなどして、一カ所に芝のダメージがいかないような配慮も行っている。裏方と選手の協力プレーがあってきれいなグラウンドは保たれている。(デイリースポーツ広島担当・畠山賢大)