【野球】阪神スタジアムMCの仕事の流儀とは 久世サトシ氏「あくまで添え物。声援が1・1倍になるようなコメントを」

 スタジアムMCの久世サトシ氏
久世サトシ
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 阪神は9日・広島戦で待ちに待った甲子園開幕を迎える。ホームゲームで勝利を信じて声援を送る虎党のために、盛り上げ役となるのが阪神タイガーススタジアムMCだ。試合展開に応じたフレーズで、ファンのボルテージを上げていく。今季で担当17年目となる久世サトシ氏(43)が語る、スタジアムMCの仕事の流儀とは-。

  ◇  ◇

 「さあ行こう、タイガースラッキー7!!」。甲子園の七回裏開始前に響き渡るあおり文句、この声の主がスタジアムMCだ。今季も昨年同様、本拠地試合ごとに3人交代で登場するが、中でも6~7割の試合を担当予定の“エース級”が、黒縁メガネがトレードマークの久世氏だ。

 阪神に携わり始めたのは2008年。当時、球団にスタジアムMCはおらず、久世氏も球場外で行われるイベントの進行役だった。「元々は『試合前イベントをやってる人』から、『五回裏に生CMを読んでほしい』と頼まれて。そこから、『男性MCで選手紹介するか』となって、しゃべりしろが年々増えて」。気がつけば“初代MC”に就任していた。

 久世氏には自身で設けたいくつものルールがある。「あくまで添え物として、ファンの方の声援が1・1倍になるようなコメントが出せればなと思っています」と“陰の存在”であることを肝に銘じる。スタンドを盛り上げるためのフレーズは基本的にアドリブ。「その日その場所でしか出ないセリフを言う方が、いいかなと思うので」とこだわりを明かす。

 昨年の甲子園ラストゲームとなった日本シリーズ第5戦。劣勢から七回のダブルエラーで点差が広がった。重たい空気に包まれる中、八回攻撃前にマイクパフォーマンスを頼まれた。「なんか言わなアカンと。思いついたのが、『ここまで来ましたけど、今シーズン行われる最後の甲子園での試合です。精いっぱいの力で応援しましょう』というパワーワードでした」。この回、森下から逆転打が飛び出した。

 試合後、現地観戦していた俳優の渡辺謙が「『今年最後の甲子園です』その声に呼応するように急にチャンスが」とSNSで発信。久世氏は「ちょっとでも空気がいい方向に向くようにと紡いだ言葉でしたが、謙さんにツイートしてもらえて、やりがいを感じる瞬間になりました」と劇勝の裏側を振り返った。

 「間違いなくファンのパワーは日本一。連覇を懸けて戦えるシーズン、僕の一瞬の言葉で球場の雰囲気がちょこっとだけでもよくできたらなと思っています」。今季も熱気が戻ってくる甲子園。勝利に向かって戦う選手にファンは声を送り、そのファンを後押しする声を久世氏が届ける。(デイリースポーツ・丸尾匠)

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