【スポーツ】宇野昌磨、再び得た闘争心 世界選手権V3へ4回転サルコー再投入も視野「競技人生で最高の演技を」

 華麗な演技を披露する宇野昌磨(撮影・佐々木彰尚)
 優勝した宇野昌磨(撮影・佐々木彰尚)
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 勝負師の本能が呼び起こされた。フィギュアスケート男子で世界選手権2連覇中の宇野昌磨(26)=トヨタ自動車=は、24日までの全日本選手権で2連覇と歴代2位の6度目Vを達成。日本男子初の世界選手権3連覇へ「競技人生で最高の演技をしなければ勝てない。無難な演技でも2位、3位にしかなれない。最高の調整をする」と力強く意気込んだ。

 これまで18年平昌大会で銀メダル、22年北京大会で銅メダルと、2大会連続で五輪メダル獲得。22年3月には世界選手権で初優勝を果たすなど、国際大会で多くの実績を誇ってきた。

 そんな宇野にとって、北京五輪後の22-23年シーズンは試練でもあった。今年5月には、昨季について「『この選手と戦えるようになりたい』と毎日練習してきた所から、自分との戦いにシフトチェンジされた1年だった。心の底からわき上がるようなモチベーションは1年前と比べるとなかった」と告白。グランプリ(GP)ファイナル初制覇と、世界選手権2連覇を達成した昨季を、「長年スケートをやってきているので、日々の練習など見極められている。僕はまだそれを自分で分かっているからこそ割り切れましたけど、選手によっては難しいシーズン」と話していた。

 足りなかったモチベーションに火が付いたのが今季だった。初戦となった11月の中国杯、NHK杯、GPファイナル全てで2位。それぞれアダム・シアオイムファ(22)=フランス、鍵山優真(20)=オリエンタルバイオ・中京大、イリア・マリニン(19)=米国=と若手に頂点を譲る形となった。GPファイナルではマリニンがショートプログラム(SP)で史上初の4回転半ジャンプ(クワッドアクセル)を成功。フリーでも4回転ループを初成功し、史上初めて6種の4回転ジャンプを制覇した選手となるなど、ハイレベルな戦いが続いた。

 世界王者の闘争心を呼び戻すには十分だった。GPファイナルから帰国後、宇野は言った。「僕がネイサン(・チェン)やゆづくん(羽生結弦)とともに戦ってきた時に感じていた気持ちと一緒でよきライバルであり、よき仲間である。そういった存在がいるのは僕にとって一番のモチベーションになる。もちろん去年もレベルが高い中で優勝できたと思っているが、今年のギリギリの戦いの方が見る方もやる方もたのしいなと思う。その中でちゃんと自分が引っ張っていけるように練習を頑張っていきたい」。言葉には力があった。

 さらに刺激となったのは、12月の全日本選手権だった。男子フリーでは最終グループで宇野までに滑った5人全員が4回転ジャンプを2本以上成功。転倒者もおらず、超ハイレベルな戦いが続いていた。最終滑走として銀盤に足を踏み入れる時、宇野の気持ちも最高潮だった。「ここでふがいない演技をするのはよくない。ここで僕がいい演技をすることでこの試合を最高のものにする」。ジャンプ構成を急きょ変更し、表彰台の真ん中を死守。「結果的に勝ちにいってるのは間違いない」。薄くなっていた闘争心は、完全に火が付いていた。

 世界選手権では共に代表に選ばれた鍵山に加え、マリニン、シアオイムファと合計の自己ベストが300点超えのライバルがそろうことが想定される。宇野は今季フリーで4回転サルコーを抜いた4回転3種4本の構成で挑んできた。「競技人生に悔いを残したくないのが一番にある。ジャンプを増やしたいのは山々なんですけど、表現をおろそかにしてまでジャンプを増やしてしまうと(表現で納得できていなかった)昨年までと同じになってしまう」と無理はしないとしながらも、「練習を少しずつしていって、状況に合わせてやるかやらないか決めていく」と再投入も視野に入れるという。

 「順当にいけば僕は優勝できないと思っている」。優勝が難しいと捉えていながら、表情は楽しげに見える。「2連覇している自分としていくというよりも、僕が今まででの最高の演技をしなければ優勝はないと思う。3連覇に重圧を感じている場合ではない」。24年3月、26歳は再び勝負の銀盤に立つ。

(デイリースポーツ・田中亜実)

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