【野球】巨人は野手登板、中日は1回10失点62球 “敗戦処理”に賛否両論 評論家の視点「結果的に巨人は奏功。首の皮一枚つながった」

 巨人は2日のDeNA戦で8点ビハインドの八回、北村拓己内野手が登板し、注目を集めた。

 大量ビハインドでの投手起用については、8月25日に中日・近藤が九回に1回10失点、62球を投じて話題となったばかり。ネットでは巨人の野手登板に「仕方ない」、「相手に失礼では?」、「屈辱」などの声があった他、「中日も野手を登板させたら良かったのに」、「どちらが良い悪いの問題ではない」、「中日近藤はランナーいなくなったタイミングがなかったから」など比較する声も少なくない。

 いずれも共通するのは、勝ちパターンの投手を温存したい思惑があったこと。シーズン後半に入り、過酷な夏場は投手の体力消耗が激しい。前回、巨人・原監督が野手の増田大を登板させたのも20年の8月だった。

 野手登板に関してはメジャーでは珍しくない起用法だが、日本のプロ野球ではあまり行われないのが実状。賛否の声があるのも確かだが、巨人OBで投手コーチも務めたデイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「野手登板は大賛成。投手の分業制が浸透し、暑さも違う。巨人では長嶋さんが『負け試合は作らない』と言っていた時代もあったけど、長いシーズン、そうせざるを得ない試合もある」と語った。

 巨人は2日に北村拓以外で7投手が登板。3日のDeNAでも先発の井上が1回7失点と崩れ、計7投手が登板した。乱打戦となったが、リリーフ陣が奮闘。2日に温存したバルドナードが2回無失点で勝ち投手となり、九回は守護神・中川が試合を締めくくった。関本氏は「結果的には2日に温存したことが奏功した。CS争いで3ゲーム差として、何とか首の皮一枚つながった」と振り返った。

 一方、中日・立浪監督の起用法はどう映ったか。関本氏は「立浪監督は就任時から見ていて、どちらかと言えば硬派なイメージ。その投球の中で何かをつかめという思いがあったんだろう」とした。

 ただ、元投手として育成出身の24歳、近藤にも同情。「投手は1イニング20球を超えると球威が落ちてきて、25球くらいから2、3失点の可能性が出てくる。その中で60球というのは苦しかったと思う」とした。立浪監督の起用法そのものも否定はしなかったが、「その状況で何かをつかめるのか、というのは投手の性格もある。みんながみんな、強靱な精神力を持った選手ばかりではない。今回がどうだったかは分からないが、選手によってこれはプラスになるのか、これはマイナスになるのかというものを考えてあげることも、必要になるだろうな」と語った。

 考えが分かれる“敗戦処理”の起用法。いずれにしろ、今回の両ケースともに苦肉の策だったことは間違いない。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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