【野球】史上初の4割打者誕生か DeNA・宮崎がバース、イチローを超える?

 首位を快走するDeNAにあって、宮崎敏郎内野手(34)のバットが際立つ。開幕から29試合を消化して、81打数35安打の打率・432。26試合の出場で無安打に終わったのは5試合。連続無安打試合も2試合が最長というコンスタントさが光り、安打を放った21試合のうち、約半分に相当する10試合でマルチ安打を放っている。

 長いプロ野球の歴史を紐解けば、規定打席に到達してのシーズン打率4割を達成した選手は誰もいない。過去最高打率は、阪神・バースが1986年に記録した打率・389。続くのが2000年のオリックス・イチローで・387。右打者となれば、2008年の横浜・内川の・378が最高打率だ。

 2度の三冠王に輝いたバースや、日本時代に7年連続首位打者に輝いたイチローですら成し遂げられなかった金字塔。宮崎が前人未到の地に足を踏み入れる可能性はあるのだろうか。

 惜しかった選手がいる。2017年の日本ハム・近藤(現ソフトバンク)だ。右太ももを痛めて戦線離脱する6月6日まで打率・407をキープ。約3カ月半後の9月28日に復帰し、最終的に打率・413をマークしたが、規定打席には遠く及ばなかった。それでも、200打席以上に立って打率4割以上を記録した唯一無二の存在である。

 元阪神監督で通算2064安打を放ち、1981年には打率・358で首位打者を獲得した藤田平氏は「今年の宮崎は初球打率・750、2ボールからの打率が10割という数字が示すように、早いカウントから攻めていける打撃が好調につながっているのだろう」と分析する。

 続けて「今年は先発を外れるなど、休みながら出場していることも好調の要因ではないか。疲労や苦手投手との対戦はバッティングを崩す恐れがあるから」とも付け加えた。

 過去5度、シーズン打率3割をマークした好打者。藤田氏は宮崎の特長について「インコースを打つことがうまいバッター。ステップ時に体を開きながら肘をたたみ、インコースを打つ。追い込まれてからはアウトコースにも意識を置いてうまくさばく。難しいボールをカットしながら打てるボールを待つことができる打者」と解説する。

 左打者は一塁方向に回転しながら走り出せる利点がある。だが、右打者は三塁側方向に回転し、しかも左打者と比較して約70センチほど一塁ベースまでの距離が遠いこともあり、内野安打を稼げる確率が格段に下がる。宮崎に置き換えても、決して俊足と呼べる部類ではないだけに、乗り越えるべきハードルは高いと言わざるを得ない。

 シーズンはまだ始まったばかり。まだ4分の1も経過していないが、それでも胸の高鳴りを覚えずにはいられない。好調とあれば相手のマークは厳しさを増し、チームが首位となれば勝負を避けられるケースも増えてくるだろう。そんな中でボール球を振らずに耐えられるか。試合を重ねる中で疲労も蓄積するシーズン中盤以降、いかに現在と同じ状態でスイングを重ねることができるか。

 藤田氏は「今までシーズン打率4割を実現させたバッターはおらず、常識的には難しいだろうが、どこまで成績を残していけるかに注目している」と、偉業達成は厳しいとの見立てを示したが、それでも誰も足を踏み入れたことのない未開の地に到達してほしいというバットマンとしての夢を託した。DeNAが25年ぶりのリーグ優勝を目指す中、宮崎が奏でる打球音にも耳を澄ませていく。(デイリースポーツ取材班)

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