【野球】DeNA伊藤光「勝てなかった」捕手がつかんだ投手の信頼 バウアー来日初勝利を導いたプロ16年の技

 春の快進撃を支える姿がある。注目したのはDeNA・伊藤光捕手(34)だ。扇の要として厳しいプロの世界で戦ってきて16年。「ピッチャーをちょっと置いてけぼりにしちゃうっていう失敗があった」。大きな転機は突然訪れ、変換機を迎えた。

 これが、挫折なのか-。もがき、苦しんだのはオリックスに在籍していた2017年の頃だった。勝利を渇望するあまり、対打者のデータに当時は固執したという。惜しみないほどの準備と勉強は裏目となり、「弱点をつこうと。投手それぞれには特徴があるのに、全員の投手を一括りにしていた」と失敗談を語った。

 自信を持ってサインを出すも、勝てない試合もあった。17年に先発マスクをかぶった試合は24勝21敗。チームは4位だった。「配球について聞かれれば、打者が弱い(苦手だ)から。そういう言い訳しかできなかった。そこから外されたりするようになって、結構悩んでいた。どうすればいいんだろうって」。徐々に減る出番に、人知れず苦しんだ。

 そんな17年の秋。フェニックス・リーグに参加した。「改善したい」自分と「良くしたい」首脳陣と意見が合致。何かをつかみかけたオフを終え、18年7月にDeNAへとトレードされた。

 新天地に移籍してからは、新たな自分を一から作り上げた。「みんな誰も、僕がどういうキャッチャーか知らない。知らないからこそ変えていけた」。投手へのアンテナを張り、会話を大切にした。「バッターの弱点はこうだけど、今のピッチャーの状態はこっちのボールだなとか。そう心がけていたら、対打者をあまり見なくなりました」と、変化は自分自身が一番感じた。

 移籍して今年で6年目。首位を走るチームを支え、3日の広島戦では来日初先発だったバウアーを懸命にリードし、初勝利に導いた。「投手のことを一から知れて、自分の考えも言えた。投手自身の持っている球で勝負していいんじゃないかと思えるようになった。そこが1番変わったと思う」。

 変化を恐れず、進み続けてきた捕手道も自ら別の道を選択した。迷いはない。ベテラン捕手の仲間を思う気持ちが、チームに結束力を生む。(デイリースポーツ・松井美里)

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