【スポーツ】野外フェスさながらのボクシング大会開催 長谷川穂積氏が取り組む新たな挑戦

自らも野外リングで山中慎介氏とのスパーリングを披露した長谷川穂積氏=4月23日、メリケンパーク(長谷川氏提供)
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 ボクシング元世界3階級制覇王者、長谷川穂積氏(42)が、4月23日に神戸市内で30歳以上の男女によるボクシング大会「HOZUMI HASEGAWA CUP」(HH CUP)を開催した。フィットネスや趣味でボクシングに取り組む約50人が参加。第2回の今回は神戸のランドマーク「メリケンパーク」に特設リングを組み、野外開催となった。イベントの全国展開も見据える長谷川氏に、新たな挑戦へ込めた思いを聞いた。

 神戸のランドマーク「メリケンパーク」。青空の下に10店舗ほどの屋台とグッズ物販店が並び、DJがターンテーブルを回して盛り上げる。野外フェスさながらの会場のど真ん中に鎮座するのが、ボクシングリングだ。

 ヘッドギアをつけて2分2ラウンドのスパーリング。セコンド、レフェリー、ドクターもいる。ダウンもKOもある。ただ、プロではない。関西圏のジムで競技に取り組む30歳以上の男女が集結し、陽光の中で2分2ラウンドの熱戦を繰り広げた。

 第1回大会は、昨年11月に屋内ホールで行われた。神戸市内で「長谷川穂積フィットネス&ボクシング」を経営する長谷川氏は、開催のきっかけを「会員さんが頑張る場所をつくりたかった」と語る。プロ加盟せず、フィットネスジムとしての経営にこだわったのは、ボクシングを誰もが健康のために楽しめるスポーツとして広めたいという思いがあった。そのためには「一人でも多くの人にボクシングに興味を持ってもらいたい」。第2回大会を地元神戸の中心地で野外開催にした意図もそこにある。

 入場料は無料。日曜の午後から夕方にかけて約6時間の開催で、会場にはのべ3000人ほどが入れ代わり立ち代わり足を運んだという。今回の大会に協賛した企業は約10社。リングサイドはクラウドファンディングによる有料座席を設け、集まった協賛金で運営費やMVP、勝利者賞をまかなった。

 観戦無料は「ふらっと見に来られるボクシングにしたかった」と長谷川氏。「(収支は)マイナスにはなっていないが、もうけを出すつもりはない。プラスマイナス0でこそやる意味がある」と手弁当での敢行だ。

 全選手が出そろったスパーリングの最後には、メインイベントとも呼べるエキシビションマッチも開催された。長谷川氏と元WBC世界バンタム級王者、山中慎介氏(40)が対決。また、2階級制覇王者、粟生隆寛氏(39)と元東洋太平洋スーパーバンタム級王者の勅使河原弘晶氏(32)も、熱のこもった戦いを見せた。

 30歳以上のボクシング大会は各所で行われているが、長谷川氏は「引退したボクサーが手伝ってくれて、レジェンドがその場でスパーをする。それは自分にしかできないことだと思った」と言う。また、引退したボクサーにとっても「(自分たちの技術を)見せて、喜んでもらえることはうれしい。山中君たちも楽しかったと言ってくれた」と、競技愛を引退後もなお観客の前で昇華できる。

 今後は「秋に地方巡業に出たい」と計画している。また、その先には「全国のいろいろなところで開催したい。その地方出身の王者を呼ぶことができれば盛り上がるし、自分もできる限りリングに立ちたい」。王者のまま引退してからも、ほぼ毎日ジムワークを続けてきた。高額なチケットのビッグマッチはもちろん面白い。ただもっと身近な存在として伝えたいのは「ボクシングって楽しい」。その思いを自らの体で伝え続けていく。(デイリースポーツ・船曳陽子)

 ◆長谷川穂積(はせがわ・ほづみ) 1980年12月6日、兵庫県西脇市出身。99年プロデビュー。2005年4月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、10度防衛。10年11月に同フェザー級王座、16年9月に同スーパーバンタム級王座を獲得し、世界3階級を制覇。同年12月に王者のまま引退。通算41戦36勝(16KO)5敗。引退後は本紙評論「拳心論」やテレビ出演、神戸市内のジム「長谷川穂積フィットネス&ボクシング」運営など多方面で活躍する。

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