【野球】阪神・坂本 スタメン4戦全勝の秘密 ヤマ場に選択肢残すリード 重要なのは布石

 スローイング練習をする坂本(撮影・中田匡峻)
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 阪神・坂本誠志郎捕手(29)が、巧みなリードで投手をけん引している。大竹、村上が先発した4試合でスタメンマスクをかぶって全勝。今季は6試合に出場して計38イニングで投手をリードし、わずか2失点だ。好投を引き出せる要因を探った。

  ◇  ◇

 徹底した“リスク管理”が、坂本のリードの核となっている。試合のヤマ場で、いかにリスクの低い配球を選択できるか-。安全第一を意識したゲームプランを構築した上で、投手の手綱を握る。

 「配球を決める中でリスクがあるかと考えたら、リスクが低いんじゃないかと思う方を大事な場面で選びたい」。試合後半の展開が動きやすくなる局面に、どれだけ有効な選択肢を残しておけるかが失点を少なくするポイントとなる。

 重要なのは「大事な場面」に至るまでの布石だ。「最初からリスクが低いところを選ぶと、試合の後半で手詰まりになって大変になる」。序盤に弱点のコースを突いて相手打者を抑えたとしても、試合の後半にはそのコースに慣れが生じてしまう。絶対に打ち取りたい場面での選択肢が減り、結果的に打たれるリスクが高まることを危惧している。

 理想の試合運びだったのは大竹、岩崎、石井、湯浅をけん引して“スミ1”で勝利に導いた8日・ヤクルト戦(甲子園)。主砲・村上を4打数無安打に抑えた試合だ。

 坂本は初回2死一塁は大竹に内角直球を執拗(しつよう)に要求。一発が飛び出しても痛手にならない場面で、村上の脳裏に内角球を焼き付けた。

 対村上のヤマ場は七回無死での3打席目。この回から大竹と同じ左腕・岩崎とコンビを組んだ。本塁打は許されない場面で、全5球で外角低めスライダーを選択。二ゴロに抑えた。

 「序盤も(内角は)リスクが高かったかもしれないけど、(終盤は)大竹のインコースが効いていた」

 長打でも同点、逆転につながりかねない状況で「打球を上げさせたくない」と考えた時に、序盤に内角攻めを徹底し、外角スライダーの手を残していたことが功を奏した。

 「相手が考えてそうなことに寄り添う必要はない。その反対をいけばリスクは低いし、抑える確率は上がる」。投手を“正解”に導くのが女房役の務め。坂本の野球脳はチームの勝利の一因となっている。(デイリースポーツ阪神担当・北村孝紀)

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