【野球】赤ヘルイズムを学んだ長野久義の電撃復帰で、巨人・坂本勇人は復活できるのか

 赤ヘルイズムを学んだ長野久義(37)の電撃復帰で、巨人・坂本勇人(33)は復活できるのか。

 4年間、広島でプレーした長野が巨人へ無償トレードされたことには少し驚かされた。かつて首位打者、最多安打のタイトルも獲得した長野だが、今季は58試合に出場して打率・211、3本塁打、15打点。12月に38回目の誕生日を迎えることを考えれば、戦力外通告を受けても仕方がない成績だろう。

 2008年のドラフト会議ではロッテに2位指名されながら入団を拒否。翌年のドラフト会議で巨人に1位指名されて入団したほど、原辰徳監督がいう「ジャイアンツ愛」に溢(あふ)れた選手だった。だが、19年1月に、FAで巨人に移籍した丸佳浩(33)の人的補償として広島へ移籍した経緯がある。それだけに、今回の巨人復帰は、温情の部分もあるだろう。

 長野の復帰で最も恩恵を受けるのは坂本勇人かもしれない。今季は開幕前に左内腹斜筋を損傷。14年間続いた開幕戦での先発出場がストップした。また、5月9日のヤクルト戦(東京ドーム)で右手母指末節骨を骨折し戦線を離脱するなど故障に泣かされてきた。出場数も定位置を獲得した08年以降、もっと少ない83試合。打率こそ・286だったが、5本塁打、33打点に終わり、巨人Bクラス転落の要因のひとつとまで言われたほどだ。

 内野手で一番過激となれる遊撃のポジションを守り続けたきた“勤続疲労”は間違いある。だが、33歳という年齢は、まだまだ体力的に衰えを感じる早すぎると思う。今後の取り組み方によっては、かつての輝きを取り戻すに可能性は大だ。

 その手助けになるのが、長野の存在だろう。今の坂本勇人はその実績からチーム内では孤高の存在になりつつある。また、長年、キャプテンとして常勝を義務づけられたチームを引っ張ってきたプレッシャーも並大抵ではない。プライベートでも仲のいい長野は、相談役としてもってこいの存在に違いない。

 だが、長野に期待されるのは精神面のサポートだけではない。長野は、12球団随一といわれ続けている豊富な練習量を誇る広島でたたき込まれた赤ヘルイズムを体現してきた。今、12球団は来季に向けて秋季キャンプや秋季練習で汗を流している。だが、私はプロ野球球団を7球団担当してきたが、広島ほど秋季練習、秋季キャンプ、春季キャンプを通じて選手が練習をするチームを知らない。それは若手だけでない、ベテランの域に達した選手でも同じだ。長野もそんな環境に4年間身を置いたことで、数多くのことを学んだと思う。

 巨人は再建に向けて舵を切ったばかりだ。ドラフトやトレード、今後、FAで新たな選手も加わってくる。若手の力をつけてくるだろう。主力選手がしっかりしていればこその話だ。坂本勇人の覚醒がV奪回には必要不可欠だ。(デイリースポーツ・今野良彦)

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