【野球】ボールが止まってみえる?ヤクルト・村神様は、打撃の神様・川上氏の領域に達したのか

 もはや村神様には球が止まってみえるとしか思えない。無双状態のヤクルト・村上宗隆(22)は、打撃の神様と呼ばれた故川上哲治氏の領域に達したのだろうか?

 史上最年少での三冠王獲得が視野に入る、村上のバットが止まらない。26日のDeNA戦(横浜)の第3打席から14打席連続で出塁を続け、2013年に広島・広瀬純氏(48)がマークしたNPB記録の15打席連続出塁に王手をかけた。26日からの首位決戦では4本塁打の荒稼ぎ。勝負を避けて、四球で逃げるしかない状態が続いている。

 巨人を監督としてV9に導いた故川上哲治氏は、7000打数以上の選手中で歴代2位の通算打率・313を誇る名選手だった。私は、ゴルフ場で80歳を超えていた川上氏のラウンドを生でみたことがある。確か20、30歳以上年下の野球界のOBたちと遜色のないドライバーの飛距離に驚かされた。その川上氏は、練習中に投手が投げたボールの縫い目までみえたらしい。実際「ボールが止まってみえた」との名言を残している。止まった状態のボールを打つのは、村上レベルの打撃技術を持っていれば容易だろう。

 最近、一流のアスリートたちはよく「ゾーンに入る」という言葉を使う。ゾーンとは本来は心理学の用語でハンガリー出身の米国の心理学者・故ミハイ・チクセントミハイ氏が用いた。ひと言でいえば無我の境地、忘却状態ということだ。大きな労力を強いられても、その経験が楽しく、何度でも経験したくなるらしい。村上にはそんな言葉がピッタリと当てはまる。実際、28日の試合後、村上は「目の前の試合に集中して、最終的にどうなっているのかを楽しみにしたい」と笑顔で話している。

 コロナ禍の影響に苦しんだヤクルトは、DeNAに3連勝したことで、2位との差を再び7・0ゲームに広げた。消滅していた優勝マジックも、最短で31日には「19」が再点灯する。

 連続打数安打のNPB記録は1991年にロバート・ジェームズ・レイノルズ氏(当時大洋)=(63)=、2003年、巨人でプレーしていた高橋由伸氏(47)の持つ「11」。最近では勝負を避けられている村神がこの記録に肩を並べるのは難しい。だが、狙ったボールを打ち損じることはないだろう。このままのペースを維持すればウラディミール・バレンティン(38)が持つNPB記録の60本塁打もみえてきた。打撃の神様の領域に達したかもしれない村神様は、どこまで球界を席巻するのだろうか。(デイリースポーツ・今野良彦)

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