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【芸能】コロナ禍2年半、フェスの現在地とは-フジロックの場合(後)

初日のヘッドライナー、ヴァンパイア・ウィークエンド
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 コロナ禍で2020~21年、ほとんどの音楽フェスが中止、もしくは延期を余儀なくされたが、今年は違う。昨年は邦楽勢のみでの開催だったFUJI ROCK FESTIVAL、開催がなかったサマーソニックが海外アーティストを招へいしての開催にかじを切り、その他の大型フェスも復活した。“令和の二・二六事件”から現在までフェスが歩んだ苦難の道について、フジロックを主催するSMASHの石飛智紹取締役に聞いた。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

  ◇  ◇

 来日公演は昨秋から少しずつ実現し始めた。フジロックも今年は、海外勢もステージ数も完全にコロナ前の水準には戻っていないが、かなり例年並みに近づけての開催となり、昨年は自粛した酒類の提供も解禁される。

 海外勢のブッキングは、コロナ感染者数の推移をにらみながら、針に糸を通すような作業を昨年から今年にかけて続けていた。

 「オミクロン株に対する水際対策が強化され、(昨年)11月末から外国人の新規入国が禁止になった。そんな中で果たして呼べるのか?海外は緩和していく中で突然鎖国をし、先が見えない状況で、海外にも日本はこうなんだって説明しつつ、それでも出演を了解いただけるかどうかみたいな確認作業を普段の5倍とか10倍ぐらいやり取りをしながら」

 2月頃には、新型コロナウイルス等感染症対策推進室や経産省などとリモート会議を行い、入国について確認作業を進めていたが、当時は「足かけ9日前に(日本に)入って1週間隔離でようやくコンサートやって、その間どうする?みたいな。だいたい、それで来るなんてアーティストはめったにいません」という状況。それでも、隔離期間が短くなることを信じ、動向を見ながら、作業は進めざるを得なかった。

 「『ごめんなさい、また海外アーティスト来れません』『チケット売っといて何やってんだ!』みたいなおしかりを受けるシミュレーションもしながら」の作業だった。

 アーティストも「おおらかにみてくれる人」もいれば、「マスクやってる客の前でパフォーマンスはできない。それ(観客のマスク外し)を保証してくれるなら今ここでハンコ押すけど」という人もいた。「そういう環境の中でブッキングを進めて、今発表しているアーティストになっていますね。苦労話で言えばそれが全てかな」と、石飛氏はしみじみと話した。現在、海外アーティストは「ほとんどの国(から来る出演者が)が一定の条件のもと隔離無し」になっているという。

 コロナ前年の19年と比べるとステージ数は14から9、総出演者数は245組から162組とまだ少ないが、昨年の出演者数は146組だから、石飛氏が「去年を特別なフジロック。今年をいつものフジロックを取り返す年」と言うように、取り戻しつつある。

 「運営的なところで言えば去年のしっかりした経験値がありますので、そこから自主規制部分を外したということですから、何か起きた時とか、起きる前の様子も含めて分かりますし。今、熱中症も意識して、厚労省が、(必要のない場面では)マスクを外しましょう(と)発表してますよね。今までガイドライン上は常時マスク着用でお願いしていましたけど、外していいシーンの場合は外してリフレッシュもしくは熱中症予防なりしてくださいと書き直しています。(酒類の)飲み過ぎ注意っていう一言を添えて」

 この2年強の教訓を聞くと、石飛氏は「たくさんありすぎて」と前置きして「人を集めて楽しむことが悪かのように扱われ-じゃないですけど、長引いたら、こういったビジネスが成立しなくなる。バンドにしてもスタッフにしても、新しい担い手が育たなくなるんじゃないかなっていう、そこに一番危機感を覚えました。もっと言えばこのビジネスには常にこういったリスクがあるっていう話です。SARS、MERSとあって新型コロナ。また何かあるかもしれませんしね」と危惧を明かした。

 それでも「そんな中でも続けていくと思います。大自然の中で素晴らしい音楽を聴いてもらいたい、そこで何かを得て一人一人のライフスタイルに何か結びつくものがあるはずだと信じてやっているので、単純に撤退することはない」と言う。

 「屋外フェスは単純に自然の脅威との対峙っていうのがあって。台風は日本で行えば必ず何らか影響を受けるので、常に想定して準備をしてやってきてます。避難計画なんかも含めて。ウイルスも自然なので、自然の脅威と共生しながらやっていくしかないのかな」

 石飛氏は最後に「ビール冷えてます。苗場で乾杯しましょう。感染対策を順当にやりながら、いつものフジロックを楽しんでほしい」と呼びかけた。(終わり)

  ◇  ◇

 FUJI ROCK FESTIVAL’22(7月29~31日、新潟・苗場スキー場)

 主な出演者は次の通り。

 ▽7月29日=ヴァンパイア・ウィークエンド(米)、YOASOBI(日)、ハイエイタス・カイヨーテ(豪)、ボノボ(英)、ジョナス・ブルー(英)、シド(米)、ドーズ(米)

 ▽7月30日=ジャック・ホワイト(米)、フォールズ(英)、東京スカパラダイスオーケストラ(日)、コーネリアス(日)、ダイナソーJr.(米)、アーロ・パークス(英)、ブラック・ピューマズ(米)

 ▽7月31日=ホールジー(米)、トム・ミッシュ(英)、PUNPEE(日)、ムラ・マサ(英)、ずっと真夜中でいいのに。(日)、モグワイ(スコットランド)、ハナレグミ(日)

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