【野球】いまだ2発のセンバツ なぜ本塁打数が減少しているのか スカウト&指導者の声

 右翼席へソロ本塁打を放つ浦和学院・金田=3月24日
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 花巻東の佐々木麟太郎内野手や広陵の真鍋慧内野手、九州国際大付の佐倉侠史朗など、2年生スラッガーが注目されていた第94回選抜高校野球大会。だがここまで不戦勝を除く21試合を消化して本塁打は浦和学院が放った2本のみだ。その要因をひもとく。

 出場全32校が出そろった時点での本塁打はたった1本だった。1974年夏に甲子園で金属バットが導入されて以降、センバツでは全校初戦終了時で最少の本塁打数。新基準の「飛ばないバット」完全導入は2年後の24年春から。なぜ、本塁打が減っているのか。

 「新型コロナウイルス感染症の影響で、圧倒的にこれまでの選手よりも練習量や実戦経験が減っている」

 今大会を視察するスカウトからはこのような声が上がった。実際に、鳴門は徳島県教育委員会の方針を受けて練習試合解禁となった5日以降も対外試合はなし。ぶっつけ本番で24日の初戦・大阪桐蔭戦に臨んだ。

 しかし、新型コロナウイルスの影響は大会直前だけではない。20年1月に国内で初の感染が確認された。以降、多くの学校は休校を強いられ、同時に部活動も停止した。また多くの大会も中止され、20年は春・夏の甲子園が開催されなかった。

 少ない本塁打数とコロナ禍の関係について各校の指導者も否定はしない。大垣日大・阪口監督は「(影響は)絶対にある。打ち込む時間が少なかった影響はあると言える」。明秀学園日立・金沢監督も「コロナで練習ができなかったり試合ができなかったり。制限があった」と振り返る。

 現在の高校3年生は20年に入学。2年生も中学3年時から規制された中で、部活動を行ってきた。「過去の生徒と比べて基礎体力の低下は否めない」という指導者の声もあり、現在は技術力向上よりも体力強化に時間を割く状況となっている。

 21年の春は合計9本に終わったセンバツ大会。少なくともコロナ禍が選手らの成長にも影響を与えていると分析される。(デイリースポーツ・アマチュア野球担当・井上慎也)

 ◆今大会本塁打数 1回戦を終了した時点で本塁打は第1日第1試合の浦和学院・高山維月捕手(3年)が大分舞鶴戦で記録した1本のみ。1974年夏に甲子園で金属バットが導入されて以降のセンバツでは、全校初戦終了時で最少本塁打数となった。これまでは76、82、96、97、03、21年の3本が最少。第7日終了時点では計2本となっており、75年以降のセンバツでは96年の5本が最少記録となっている。

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