【サッカー】なぜINAC神戸は国立競技場でホーム戦を開催するのか WEリーグ初に込める決意

 サッカー女子プロリーグ「Yogibo WEリーグ」のINAC神戸が4日、神戸市東灘区の神戸レディースフットボールセンターで新加入選手発表会見を行い、5月14日のホーム最終戦・三菱重工浦和戦を、WEリーグ史上初となる国立競技場で開催することをサプライズ発表した。安本卓史社長(49)は「観客2万人」と聖地にふさわしい観客動員を目指すと誓った。

 本拠地ノエビアスタジアム神戸ではJ1神戸の試合が5月14日に鳥栖戦、同18日に川崎戦が予定されている。INAC神戸は当初、15日に三菱重工浦和戦を開催する方針だったが、今年1月にピッチ改修工事を行ったノエスタでは芝の育成が十分ではなく、週3回のゲーム開催は厳しいという結論となった。

 J1神戸がアジア・チャンピオンリーグ(ACL)に出場することによる変則日程の影響でもある。同じ神戸を本拠地に置くチームとしてINAC神戸は、J1神戸を後方支援するという形でノエスタ使用の見送りを決めた。

 代替会場ということで神戸ユニバー記念競技場をあたったが、陸上大会で使えない。G大阪(パナスタ)やC大阪(ヨドコウ、ヤンマー)にも打診してみたが、こちらも確保できなかった。クラブはそれならばと、関東圏のチームの了承も得た上で、思い切って聖地国立でホームゲームを行うことを決断した。「女子サッカーも国立でできるところを見せたい。今後のためにも成功しないといけない」と安本社長。目標観客数は2万人を掲げた。

 しかし簡単な数字ではない。昨年9月に日本初の女子プロサッカーリーグとして開幕したWEリーグ。前半戦を終えて、1試合あたりの平均観客数は1696人と苦戦が続く。目標の平均5000人に届かないどころか、5000人を超えた試合が1試合もない。

 INAC神戸は平均2656人と全11チームの中でトップだが、これも5000人には大きく届かず誇れる数字ではない。INAC神戸の今季最多入場者数は開幕大宮戦(21年9月12日・ノエスタ)の4123人。2万人はとてつもなく遠い。

 それでも挑戦をあきらめない。「開催まで2カ月。普通は2カ月なので止めようとなるが、僕らはまだ2カ月あると考える」と安本社長。対戦相手の三菱重工浦和も協力的。また、INAC神戸がスポンサー、ファンクラブ会員を関東地区に多数抱えることも後押しになる。

 観戦しやすいようにチケット価格も大幅に抑え、学生の招待なども計画する。「東京五輪は無観客開催だったので新しい国立競技場でサッカーの試合を見たという人は多くない。国立は初めてという人にもたくさん来てほしい」と話した。

 WEリーグは冬季中断期間を経て、5日に再開する。INAC神戸は2位・マイナビ仙台に勝ち点9差をつけて首位を独走中。早々と優勝を決めて最終節から1試合前の三菱重工浦和戦に臨むつもりだ。安本社長は「皇后杯優勝の浦和さんとWEリーグ覇者で真のチャンピオンを決める試合にしたい」と頂上決戦に置き換えた。「INACのためだけでなく、女子サッカー全体のためにもやらないといけない。来季につながる挑戦になる」。WEリーグ初の国立決戦への覚悟を示した。

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