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【芸能】聞き手としての伊集院光のすごみ 何気ないひと言、相づちにも情報がある

 ラジオパーソナリティとしての伊集院光のすごさは、どこにあると伝えるべきかな。そう考えていたら、19日放送のTBSラジオ「伊集院光とらじおと」のゲストコーナーは、題材にうってつけだった。

 この日は、昨年限りでサッカーのトップリーグ担当(この場合はJリーグ)審判から勇退した、家本政明さんが出演した。サッカーに興味がある人には、有名人。ただ、そうでない人は、全く人となりを知らないかもしれない。聞き手の腕が問われる局面だ。

 伊集院は無類の野球好きだが、サッカーについては「ど素人」と話す。この日の放送でも、あまり詳しくないことをしっかりと明示していた。その上で、家本さんを語る上で欠かせない「2008年のゼロックス・スーパー杯、鹿島-広島」に、前半で切り込んでいった。

 この試合は08年最初の公式戦なのだが、そのシーズンの判定基準になることもあり、家本さんは規則を厳格に適用しようとするあまり、イエローカード(警告)は11枚、退場者3人を出した、という逸話がある。判定そのものは大きな間違いはなくとも、適用方法や、伝え方、選手とのコミュニケーションにまずさがあり、結果として試合は大荒れになった。

 この話題に入る前に、伊集院は“ワンクッション”入れる。サッカーに明るいアシスタント・安田美香の様子を見て、「安田がすげえ心配そうに、『お前そこから入っての話じゃないだろう』の顔で見てるんですけど」と挟み込んだ。それまでの審判を始めたきっかけなどの話題から、ややシリアスな話題になることがサッカーに詳しくない人にも伝わるな、と番組を聞いていて私は感じた。

 家本さんは「大丈夫です。家本政明=ゼロックスなんで。僕の切り離せない事実なので」と言い切り、自分に何が足りなかったか、また自分以外に足りない部分があっても全て自分へのバッシングに集約されていったことを振り返った。その間も、伊集院は「うん、うん」と都度、相づちを打って“どこが聴き所か”をナビゲートしているようだった。

 家本さんが、後進に向け、自分以外の誰かを喜ばせることを心掛けてほしい、と口にすると、伊集院は「サッカーの話じゃないと思う。全ての人生の話だと思うんです」と共感して続けた。

 「人の喜びを経由していない自分の喜びなんて、たかが知れているというか。浅いし、すぐに消えちゃうし」

 ゲストコーナーは約40分。CMなどを挟む中で、家本さんが歩んできた道のりや、審判観、そして人生観に至るまで掘り下げられていたと思う。

 ゲストの魅力を引き出すホスト役を、伊集院は6年前から、週4回(月曜から木曜)続けてきた。俳優、芸人のような著名人は、広く一般の人が興味を持っているであろう話題をぶつけ、学者や専門家を招いた時は、研究成果や、その分野のトレンドなどをかみ砕く立場にまわる。引き出しは多く、インタビュー番組として、非常に上質だ。

 この日のゲストコーナーは、配信サービスの「radiko(ラジコ)」で1週間、聞くことができるので、興味のある方はぜひ、どうぞ。それにしても…この番組、本当にこの春で終わってしまうんですか?(デイリースポーツ・広川継)

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