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【スポーツ】卓球女子“4人目のメンバー”早田ひなが見ていた盟友・伊藤美誠のすごさとは

 東京五輪の卓球女子団体で銀メダルを獲得した日本代表。エースの伊藤美誠(20)=スターツ=や、ダブルスでも安定した強さを見せた石川佳純(28)=全農、平野美宇(21)=日本生命=の最強トリオがそれぞれ持ち味を発揮した一方、リザーブの早田ひな(21)=日本生命=も裏方として奔走し“4人目のメンバー”としてチームを支えた。

 コロナ禍での大会開催という異例の状況下で、リザーブの役割は従来以上に大きなものだった。早田は事前合宿で代表選手の予定に合わせて練習相手や球拾いもこなしつつ、「自分が試合に出たときのための練習を多めにやっている」とも明かしていた。また、大会期間は会場に入場できるスタッフの人数が限られるため、短い練習時間で代表選手が調子を上げられるように、対戦相手を想定して似た球質のボールを出すなどの工夫を凝らした。競技面だけでなく「選手みんながいつも通りの感覚で試合に入れるように、練習でも日常生活でも、いつも通りにすることが一番大事」と、大会中の話し相手としても代表選手がリラックスできるように努めた。

 特にエースの伊藤は同い年で小学生時代からのライバル。近年はダブルスでペアを組む盟友でもあり、「中国からも『大魔王』と言われているすごい選手。一緒に組んでいても感じるが、相手が全く予想できないようなボールを常に出していて対応するのがすごく難しい選手」と一目置いている。

 ここ数年、全日本選手権でも上位で対戦し名勝負を繰り広げているが、同じサーブでも回転が毎回ちょっとずつ変わったり、打つタイミングや出す位置も微妙に変わるという。ところが、「ちょっとサーブが変わったよね?」と本人に聞いても「え、変わった?わかんない」ときょとんとされるのが常。「自分の感覚が強い選手で、それくらいフィーリングでプレーしている。相手としてはめちゃくちゃやりにくい。対策していることと全然違うことを常にしてくる」と変幻自在ぶりを明かした。

 17年4月のアジア選手権で初めてペアを組んで以来、公私で長い時間を一緒に過ごしてきた。ライバルとしての「伊藤選手」と親友の「美誠」の両面をよく知るからこそ、「試合でもプライベートでも、自分の考えを完全に貫いていくタイプ」と通底する人間としての強さを見る。

 例えば、書こうとした漢字がわからない場合、とりあえずひらがなで書いたりスマホで調べたりするところだが、伊藤の場合は違う。迷うことなく「自分が思った通り」の字を書く。それがたとえ間違っていたとしても、実在しない字になっていたとしても。「自分がわかればいいという子なので。プライベートでも、自分がこうと思ったら気にせずに貫き通すのが美誠らしさ。それが本当に卓球に出て、ああいうプレーができるんだろうな」と、親友ならではの視点で表現した。

 その伊藤は、東京五輪で出場3種目全てでメダルを獲得する偉業を成し遂げた。特に、混合ダブルスでは中国代表を倒して日本勢初の金メダルを獲得。会場で見守っていた早田は、大会後にSNSで長文コメントを投稿し「ライバルであり親友でもある美誠には本当にたくさんのことをこの2週間で教わりました。(中略)頑張りを1番近くで見ていたからこそ、ミックスで金メダルを取ったときは『良かった!!やっと神様が美誠にご褒美をくれた!!』と思い、涙が止まりませんでした」と報告した。

 早田自身は、東京五輪代表争いで敗れた悔しさを原動力に「勝ちたいと思った試合で勝てるように、日々の練習で技術の精度を上げたり、緊張した場面でも(ボールが)入るように積み重ねるしかない」と意識を持つようになったという。

 20年1月の全日本選手権女子シングルスで初優勝を果たすなど、24年パリ五輪出場を目指して成長を続けている。まずは今年の世界選手権(11月、米ヒューストン)の代表選考会(8月30日~9月2日、新潟)に出場予定。今回リザーブとして夢舞台を体感した大型サウスポーが、3年後に向けて台風の目になりそうだ。(デイリースポーツ・藤川資野)

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