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【競馬】“純国産”の孝行娘 ナムラリコリスのさらなる活躍に期待

ナムラリコリスで函館2歳Sを制した泉谷楓真騎手は満面の笑みを見せる
函館2歳Sを制したナムラリコリス(手前)。
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 7月17日に行われた函館2歳Sは、泉谷楓真騎手騎乗のナムラリコリス(牝2歳、栗東・大橋)が快勝。キャリア3戦目の若駒と、デビュー2年目の若武者が北の大地で輝きを放った。

 あれから半月。灼熱の栗東トレセンで、汗だくになりながら仕事に励む大橋勇樹調教師の姿があった。還暦を迎えてもなお、自ら馬にまたがる姿には頭が下がる思い。また、古くからの付き合いがある生産者の方々や、個人の馬主さんを大切にしている姿勢も私が尊敬するところだ。

 殊勲のナムラリコリスは、車で例えるならば純国産車。3代血統表にはアルファベットがひとつもなく、全て『カタカナ』で形成されている。このカタカナが意味するのは、一般的に「日本で競走に走った馬」ならびに「日本に繁殖で輸入された馬」であること。つまりは日本の競馬ファンにとってなじみ深い馬とも言えるが、ここまできれいにカタカナがそろうこと、またその馬が重賞を勝つことは非常に珍しい。

 大橋師に「いい血統ですね」と振ると、「渋いやろ~」と笑顔。サンデーサイレンスの3×3のインブリードを持つが、その中にはフサイチコンコルドやマンハッタンカフェ、マツリダゴッホら日本で活躍した名馬の名があり、母系を繋いできたナムラ一族も激シブ。ちなみに、父の母にあたるジョープシケは、渡辺栄厩舎の定年解散に伴い、新規開業した大橋厩舎へ転厩した過去があり、縁を感じさせる血統だ。

 遠方まで足を運び、幼少期から見守ってきたという芦毛馬には思い入れが深い。「ジョーカプチーノの子だから、スピードがあると思っていた。牝馬の割に体があったし、栗東に入厩したときからフットワークが良くてね。また、病気やケガもなく、順調に来られたことが大きかった」と成長ぶりに目を細める。

 生産は北海道浦河町の桑田正己牧場。20年来の付き合いがあるという大橋師にとって、この勝利は格別だ。「馬と牛がいるような、ご夫婦二人で切り盛りされている小さな牧場でね。最近は、馬から牛にシフトを変えているよう。そういうところの馬で、重賞を勝てたのはうれしいよ」。

 函館2歳Sを勝った翌週の月曜日。大橋師は函館から浦河町の桑田正己牧場へと向かった。現地に到着し、そこで目にした光景は、ものすごい数のお祝いの品。「お花とお酒で埋め尽くされていた。初めてのことで、桑田さんご夫婦も驚いてた」と満面の笑みを浮かべる。来客や電話もひっきりなしで大変だったそうだが、束の間の喜びを分かち合ったそう。「重賞を勝つということは、それだけ大変なこと。リコリスの勝利が、小さな牧場の方々にとって少しでも励みになればと思う」と感慨深げだった。

 ナムラリコリスは現在、岐阜県の山岡トレセンに放牧中。夏場に英気を養い、飛躍の秋へ向けて成長を促している。「ある程度、使うところは限られているからね。恐らくファンタジーS(11月6日・阪神、芝1400メートル)から阪神JF(12月12日・阪神、芝1600メートル)になるかな。馬体的にはもっと幅が出てくるだろうし、フワフワして幼い分、まだまだ奥があると思う。距離ももう少し持ちそうな感じがする」とさらなる進化に期待を寄せる。

 そして、リコリスの勝利は何よりも大橋師自身を奮い立たせる。「ウチの厩舎にとってはニホンピロアワーズ以来(14年東海S)の重賞勝ちだった。ウチの厩舎が、2歳の牝馬で芝の重賞を勝つイメージあるか?しかも、世代最初の2歳Sを勝ったんやで。クラシックはもちろん、桜花賞なんてなかなか出られるもんじゃない。これは新たな挑戦やな」。

 大橋厩舎の牡牝クラシック参戦は、10年菊花賞(ミキノバンジョー16着)の1回のみ。2歳G1への参戦も初めてだ。リコリスには「情熱」「陽気」「元気な心」といった花言葉があるそう。自身を取り巻く全ての人たちを新たなステージへと導く才女の活躍を期待せずにはいられない。(デイリースポーツ・松浦孝司)

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