【芸能】音楽フェスを未来へつなげ! 野外ミュージックフェスコンソーシアム(前)

 昨年から今年にかけて、コロナ禍で音楽フェスの中止、延期が相次いでいる。

 苦境のさなか、今年3月、音楽フェスを未来につなげる行動「野外ミュージックフェスコンソーシアム」が設立された。発起人はFUJI ROCK FESTIVAL(新潟)主催のスマッシュ、ROCK IN JAPAN(茨城)主催のロッキング・オン・ジャパン、SUMMERSONIC(千葉)主催のクリエイティブマンプロダクション、SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER(山梨)主催のスペースシャワーネットワークなどの各社だ。

 同コンソーシアムでは勉強や情報交換などが目的の会合を開催。地方との連携事例の共有、安全安心な開催に向けたガイドラインの策定と周知、政府や行政・自治体への要望を共同して行うことで、いち主催者では達成の難しい目標や課題の解決を目指すことを趣旨としている。

 今回、同コンソーシアムから、スペースシャワーの近藤正司代表取締役会長と、スマッシュの石飛智紹取締役に話を聞いた。

  ◇  ◇

 近藤氏はこれまで各フェスが「それぞれの状況を互いに知っているということはほとんどなかった。連絡するような場所もなかった」と指摘する。スペースシャワーは媒体であるスペースシャワーTVを通じて各フェスと交流があり、手詰まりの状況だった昨年初夏、「問題を考えてみるのはどうですか」と声がけをしたという。

 近藤「フェスって、やってることがバラバラで、みんな本当に壊滅的な状態になったところで、誰に何を話したらいいか分からないところがあって、皆さんの思いはどうかなと思って声をかけました。コロナになってみると、課題にすべきもの、困ってることは同じじゃないかな」

 勉強会は「異なる立場の中で、それぞれに話を聞くみたいな。集まって話し、悩みをぶちまけたり、課題として出すことで、考えることができました。大阪でやった人(昨年8月のRUSHBALL)の話を聞いて状況を確かめたり、他のフェスでやってみたらどんな結果が出たか、なるほどと思うことがあった。皆さんプロなので、実体験を聞くことができました。垣根なく教えてくれた。話し合いをして得たものは、それぞれ生かしていく」(近藤氏)と、胸襟を開いた集まりになったという。

 大学の准教授が算出したフェスの経済波及効果も示された。「経済波及効果もわれわれの規模感の10倍以上あるんだと初めて知りましたし。人流の結果も含めて、地方創生というキーワードが出てきて、フェスは地方創生に本当に寄与していることを、手応えとして感じたことがとても大きかった」(石飛氏)と、社会貢献が数字で明示されたことも自信となったようだ。

 ガイドラインは各フェスの経験値を生かし、それぞれの事情を踏まえた上で「最低限の、これはチェックしなきゃならないというものをまとめている」(近藤氏)。「ゼロから何かを作るより、それぞれが実施したことを持ち寄らせてもらって。実効性という意味ではその方がより効果的だと思った」(石飛氏)と、各フェスの知見、経験を集積したことが「とても大きかった」(同)という。

 状況が刻一刻と変わる中、ガイドラインを公にするには至っていないが「それぞれのフェスで、そこがそれを担保するようなことがきちんとなされている」(同)と、各フェスではそれを踏まえている。フジロックやSWEET LOVE SHOWERの公式サイトで公開されたガイドラインを見れば、それは一目瞭然だ。

   (後編に続く)

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