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【スポーツ】新横綱・照ノ富士よ、ミスターも感銘を受けた双葉山の言葉をかみしめ、木鶏となれ!

 横綱昇進伝達式で口上を述べる新横綱照ノ富士(右中央)。右奥は伊勢ケ浜親方、右手前は淳子夫人。左から浅香山審判委員、高島理事(代表撮影)
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 新横綱・照ノ富士よ、ミスタージャイアンツ、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(85)も感銘を受けた相撲の神様・双葉山の言葉をかみしめ「木鶏」となれ!

 照ノ富士(29)=本名・ガントルガ・ガンエルデネ、モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋=が第73代横綱に昇進した。新横綱誕生は2017年初場所後に昇進した現荒磯親方の稀勢の里(35)以来で、令和では初めて。平成生まれでは初の横綱となった。

 そのニュースに巨人担当キャップとして、ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督に張り付いていた時代を思い出した。ミスターはよく第35代横綱双葉山のある言葉に感銘を受けたと話していた。双葉山の連勝が69で止まったときに、哲学者で陽明学者の安岡正篤に打電した「ワレイマダモッケイタリエズ(われいまだ木鶏たりえず)」という言葉である。

 木鶏とは中国の『荘子(達生篇)』からの引用で、道を体得した人物は他者に惑わされることなく、鎮座しているだけで衆人の範となるというもの。不世出の横綱と呼ばれた双葉山でさえ、相撲に負け「まだ木彫りの鶏のように無心の境地に至れなかった」と振り返ったのだろう。

 ミスターは遠征先で、担当記者を引き連れ早朝の散歩をすることがあった。ところが担当記者泣かせで、当日の朝になるまで散歩するのか、しないのか分からなかった。ビジターの3連戦の間、3日連続で実施されることもあれば、1日も散歩がないこともあった。われわれは早朝の6時前から選手宿舎のロビーに陣取り、出てくるのを今か今かと待ち受けるのが日課だった。だが「きょうはダメだったね」と肩を落として、選手宿舎を後にすることも多かった。

 当時、指揮官と担当記者とはいえ、グラウンド入りすれば、試合後まで生の声を取材できる時間などほとんどなかった。この早朝散歩は、貴重な取材のチャンスだった。この取材時間が「せっかくだから、朝食でも」というミスターのお誘いで長くなることがあった。その際に何度か話題にでてきたのが、この木鶏の話だった。今思うと巨大戦力を有しながら、ときには試合ではばたつき、他球団を圧倒できない己を戒めたかったのだろう。

 照ノ富士は序二段にまで陥落しながら、角界の最高峰の地位に昇ったが、これで終わりではい。今後、新横綱として求められるものがある。横綱白鵬が45回目の幕内最高優勝を飾りながら、横綱審議委員会から14日目の大関正代戦、千秋楽の照ノ富士戦の取り口を非難されたことでも分かるように、強さだけでなく「心・技・体」を兼ね備えた横綱の品格である。

 照ノ富士自身も横綱昇進の口上で「謹んでお受けします。不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」と述べたように、そのことは自覚している。照ノ富士が今後「木鶏」となれるか、注目である。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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